ロード・エルメロイ2世の事件簿1 case.剥離城アドラ 感想

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今回はアニメ化も予定されているロード・エルメロイ2世の事件簿シリーズの1巻目であるcase.剥離城アドラの感想です。

内容にはネタバレがありますので注意してください。

独特な世界観の推理物

この小説はFate/Zeroに登場したキャラクターであるウェイバー・ベルベットが成長し、ロード・エルメロイ2世となった世界が舞台になっております。

なのでFate/ZeroやFateシリーズそのものに触れたことがない方には設定が良くわからず、少しオススメし辛いかもしれません。

作中は推理物らしく事件現場やそれを調査する際の描写が多いのですが、これに加えてFateシリーズ特有の世界観やその設定の説明もありますので、文章の内訳としては説明とバトルシーンが大体6:4ぐらいの比率になっております。

なのでバトル大好き!バトルシーンが一杯見たい!という方にも少し合わないかもしれません。

ですがFateの世界観に興味の有る方や、魔術が存在する世界のミステリーという少し変わった推理物が見たい方にはオススメです。

この世界では魔術を用いれば殆どの事が可能なので(例えば壁をすり抜けての密室殺人や呪詛で相手に触れること無く殺したりなど)、某高校生探偵的な犯行の実行方法の推理にはあまり意味がないのですが、なぜその事件を起こしたのかという犯人の動機の部分については魔術師でも一般人でも同じ人間である限り変わらないので、そこを追求するという発想は結構新鮮でした。

また、魔術師達の世界では他者の命の価値は軽く、利害が一致しない場合などには相手の命を奪うことも常識になってしまっているので、事件の犯人を突き止めた所で警察に逮捕されるわけでもなくそこまで意味は無いらしいのですが、それでもちゃんと推理物として成立させる為に、主人公たちが謎を解く必要があるように事件の舞台を設定している所が良かったです。

今回の剥離城アドラを舞台にした事件は、犯人は城の主である魔術師が他人の中に残した息子の残留思念という、普通の一般的な推理物からすると結構トンデモなオチになってしまいますが、そのオチまでの間に元から魔術はそういう事も可能であるという説明をこれでもかという程してくれていますので、実際に読み進んでいる時にはあまり違和感なく受け入れることが出来ました。

少ないバトルシーンでもしっかりと使用される魔術の原理などを説明してくれますので、これまでのFate作品ではよくわからなかった魔術について更に良く知る事が出来ますし、バトルシーンの描写もわかりやすいので結構読みやすかったです。

また、男性キャラクターは強そうに、女性キャラクターは可愛らしく描かれており、キャラ付けもしっかりとキャラクターのビジュアルに沿って設定されていますので皆個性的で魅力のあるキャラクターとなっておりました。

主人公が(戦闘力的に)弱い

この作品の魅力の一つは、主人公が魔術師としては凡人レベルであるということでしょう。

そのために彼は他のキャラクターと協力して物事に当たっていくのですが、そんな他者を頼らなければいけない自分自身にもコンプレックスがあったりと中々屈折した精神を持った主人公です。

ですが魔術も含めたあらゆる物事に関しての知識は超人並で、それを用いて謎を解明したり、他の魔術師に的確なアドバイスを出したりと、腕っぷしよりも主に知識で戦う人物でこういうキャラクターはライトノベルでは珍しいので読んでいて面白かったです。

ヒロインは強いけど臆病

そんな主人公を守るために付き従うのが彼の内弟子でもあるグレイというヒロインなのですが、彼女も過去のトラウマや元からの引っ込み思案なのもあってかなり臆病な性格になっております。

戦闘能力は高いのですが自分に自信が持てない人物で、そんな彼女が主人公であるロード・エルメロイ2世やその周囲の人物との関わりによって徐々に変化していくのもこの作品の魅力の一つです。

互いに欠点がある主人公とヒロインがそれを補い合いながら事件に立ち向かっていくのは、物語として実によく出来ていると感じましたし読んでいて楽しかったです。

もう少し挿絵が欲しかった

この作品は面白いのですが、強いて不満点を挙げるならもう少し挿絵が欲しかったですね。

絵で見たいシーンなどが多かったのでそこはちょっと残念でした。

ですがこの作品は既にコミカライズされていますし、先程も言ったようにアニメ化が予定されていますので、見たかったシーンはそちらで補完できるかもしれません。

その意味でも個人的にアニメ化は凄く楽しみです。

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