アサシン クリード シンジケート 批評

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ステルスゲームの代表的な作品でもあるアサシンクリードシリーズの一つ、アサシンクリード シンジケートの批評です。

内容はネタバレを含んでおりますので未クリアの方は注意してください。

概要

プレイヤーはアサシンの姉弟であるジェイコブ・フライとエヴィー・フライとなって、1868年のロンドンを舞台に強大な力を持つ超古代文明の秘宝「エデンの欠片」を巡る戦いに挑みます。

ギャングとしての抗争

このゲームの敵対勢力はテンプル騎士団というロンドンを支配している者達で、街中ではブライターズというギャングを率いて主人公達に襲いかかってきます。

主人公達もこのブライターズに対抗するためのルーカスというギャングを組織して、エデンの欠片探しと同時にロンドンの支配権を巡って勢力争いを行うなど、Saints Rowに似た要素も取り入れられております。

敵の地域を制圧すれば安全な地域が広がるだけでなく、街中に味方のギャングであるルーカスの構成員が歩き回るようになり、彼らの力を借りることが出来ます。

多様なサブミッション

ゲームはオープンワールド方式を採用しており、主人公は本筋のミッションの進行に縛られず自由に街を歩いたり、マップ上に設置されている様々なサブミッションを受けることが出来ます。

サブミッションは受けても受けなくても本筋のミッションには影響しませんが、クリアすることが一部の武器などのアンロック条件になっていますので、完全に無視すると戦闘で不利になることがあります。

悪い部分

バグが多い

バグはこのゲームの色んな場所で遭遇します。

例えばミッション中になにかのフラグ管理がおかしくなってしまうのか、ミッションの進行に必要なNPCが棒立ちのまま動かなくなったり、壁に寄りかかっている敵を倒しても何故か即復活したり、馬車が急に吹き飛んで後退りし続ける馬だけが残ったり、オブジェクトがスタックした際には強制的に死亡状態になる仕様になっているのか、街を移動していると急に体力が0になって即死したりと、妙なバグが残っています。

Bethesda Game Studioの代表作であるOblivionやSkyrimのように、オープンワールド方式のゲームには管理する対象が多い為かバグが多い事が珍しくありませんが、このゲームもその問題を抱えていると言えるでしょう。

酷使されるEキー

このゲームでは様々な動作をEキーで行います。

例えば馬車に乗り込むのはEキー、敵の攻撃を回避するのもEキー、敵を拘束するのもEキー、物を持ち上げるのもEキー、高いところから降りるのもEキー、壁紙を剥がしたり宝箱を開けるのもEキーです。

これだけの操作が同じキーに割り当てられているので、動作を誤爆してしまう事があり、物を持ち上げようとして馬車に乗ってしまったり、もしくはその逆に馬車に乗ろうとしたら物を持ち上げてしまうというような事があります。

他にも敵を気絶させたり、敵から物を盗んだりするのは Eキーの長押しで 行うようになっている為、こちらも誤爆の元になっております。

癖のある操作性

このゲームの操作性は 建物の壁を登ったり降りたりする時に若干妙な癖があります。

これは実際に体験してみないと分かり辛いと思いますが、例えば大雑把に登ったり降りたりする際には特に問題は無いのですが、ちょっとした壁の出っ張りの部分に行きたい場合など、少しでも細かい操作をしようとすると非常にやり辛く感じるのです。

このような壁をよじ登る事が出来るゲームはトゥームレイダーシリーズが有名ですが、あちらの操作性と比べるとこのアサシンクリード シンジケートの操作性は少し独特な癖があるように思います。

今回私がプレイしたのはPC版なので、キーボードで操作している事にも原因があるのかもしれません。

また、ストーリーを少し進めると使用することが出来るロープランチャーというアイテムがあるのですが、これは建物の近くでRキーを押すと指定された場所にロープを放ち、その場所まで一気に登れるという大変便利なアイテムなのですが、この操作性にも若干癖がありまして慣れるまでは苦労するかもしれません。

他の作品でこのロープランチャーのような移動が出来るゲームにはバットマン アーカム・アサイラムがありますが、この部分も本作よりもこちらのゲームの方が操作性が良いように感じました。

道幅が狭い

GTAやSaint Rowなどの車が使えるオープンワールド方式のゲームをプレイした事がある方は、出来るだけ早く目的地に到着するために対向車線にはみ出したり、ニアミスなどを繰り返したことがあるかとは思いますが、本作では道路の道幅が狭いのでこれらの行為がやり辛く感じるかと思います。

それでも通常時の移動ならまだある程度大丈夫なのですが、ミッションによっては敵の馬車に追われる物もありそこで敵の馬車が2,3台突っ込んでくると、避けることはほぼ無理です。

馬車自体が大きいことにも原因があると思われますが、これがある為に馬車を使ったミッションは面倒くさい事になる場合が多く、楽しめたものが少なかったです。

どんな時でも問答無用で喧嘩を売ってくる敵ギャング

概要で説明した敵対勢力であるブライターズは街中を常に歩き回っており、主人公が視界に入ると警戒ゲージが上昇し、警戒ゲージがMAXになると敵対状態となって襲いかかってきます。

彼らはミッション中であるか否かに関わらず常に敵対してくる為、街中のミッションでは特に鬱陶しかったです。

まだマシなのは救済措置が用意されていることで、ブライターズが街中では敵対してこないようにする「悪い噂」というスキルがあります。

取得すると街中でのミッションが格段に楽になりますので、これはほぼ必須スキルと言って良いでしょう。

良い部分

多彩なアクション

このゲームではアサシンらしい暗殺だけではなく、敵と真正面からの戦闘も行うことが出来ます。

敵の行動パターンには攻撃、ガード、銃を撃つなどがありますが、この全てに対抗する手段が存在しますので、敵の様々な攻撃パターンに完璧に対処すれば複数人の敵を同時に相手にしても無傷で勝利する事が出来ます。

敵はこちらの攻撃で体力が一定以下になると瀕死状態になり、その際に攻撃を行うとフィニッシュムーブを行うことが出来るのですが、これが武器や瀕死にした敵の数、壁際か崖際かなどの状況によって複数のパターンがあり、そのどれもが爽快感のあるかっこいいアクションになっていて、まさに戦闘のプロであるアサシンらしくて良かったです。

綺麗な街並みとクオリティの高い世界観

1868年のロンドンを舞台にしたマップはとても作り込まれており、質素な小屋から宮殿まで、内装も含めて作り込まれており、高い場所から見渡すとロンドンの美しい風景を見ることが出来ます。

またその街並みを彩っているのがNPCである民衆で、物乞いをする子供や楽器を演奏したり歌っている集団、演説を行っている男とそれを聞く群衆、喧嘩を始める者とそれを囃し立てる者、路上にボロ布を敷いて寝る労働者や、ボール遊びをする子供達など、他のオープンワールドのゲームでも滅多に見られないような非常に多種多様なNPCで活気のある街並みになっております。

ここまでマップのクオリティが高いオープンワールド方式のゲームは珍しいと思います。

個性的なキャラクター

本作では、主人公である猪突猛進的なジェイコブ・フライと、少し神経質気味なエヴィー・フライの姉弟や、敵のボスであり街の独裁者でもあるスターリック、果てはグラハム・ベルやダーウィンといった歴史上の偉人まで登場し、だいぶ濃い面々と邂逅しながら物語が進んでいきます。

ムービーでの表情や声優の口調にも違和感は無く、少し突っ込みどころのある掛け合いや行動も見ていて面白く感じました。

ムービーにはキチンとスキップ機能も実装されており、こういった部分に興味が無い人にとっても親切な設計となっております。

またターゲットを暗殺するとそのターゲットの亡霊が出てきて、好き勝手な恨み言などをこちらに言ってくるのは結構新鮮な演出でした。

様々なスキル、武器

戦闘やミッションの達成によってスキルポイントを得ることができ、それを消費することで戦いや隠密行動を有利にするスキルを身につけることが出来ます。

スキルは徐々に要求されるスキルポイントが多くなっていく為、一瞬で強くなりすぎてしまうこともなく、敵との戦闘に使う武器にもレベルによる装備制限がかかっているため、こういった成長要素のあるゲームでありがちな主人公が強くなり過ぎるヌルゲー化に陥り辛い工夫がされている所が良かったです。

まとめ

アクション ☆☆☆☆

アサシンらしい隠密行動や、敵を倒す際のモーションなど、実にかっこよく作られていて操作していて楽しかったです。

高い所に平然と登れるのも自由度が高くて良かったですし、上から敵に襲いかかるなど戦略の幅が広がりました。

唯一細かい部分での操作性に若干の癖がありますが、それを考慮しても全体的に高い水準でまとまっていると思います。

ストーリー ☆☆☆☆

偉人が出てくるというちょっとトンデモな要素も含めてそこそこ面白いのですが、主人公達の掛け合いが最後辺りになると少しクドく感じてしまう部分もありました。

敵がギャングなのは良いのですがその幹部が主要人物を除けば雑魚モブと同じ顔をしていたりするので、サブミッションにはあまり物語性が無く繰り返し行っていると単調な作業感を感じてしまいました。

メインのストーリーは中々面白く、暗殺の要素が加わる事で結構スリリングな体験を味わうことが出来るのですが、サブミッションも含めて攻略しているとメインミッションに比べてサブミッションのチープさを強く感じてしまいましたので、もう少し敵の地域制圧も含めたサブミッションの方にも力を入れて欲しかったと個人的に思います。

音楽 ☆☆☆

街で市民のNPCが歌っている物を除けば、雰囲気程度のBGMがあるだけで、唯一ミッションクリア時のBGMだけは何度も聞く事になるので嫌でも耳に残ると思いますが、音楽という面においては可もなく不可もなくと言った感じです。

品質 ☆☆☆

バグの存在は目立つものの、街の作り込みや多様なNPCなど、非常に手が込んでいると思われます。

ミッションでもクリアした際に公式にミッションの出来の評価を送る機能が付いているなど、プレイヤーからの要望を意識している開発であることが伺えます。

総評点数 70/100点

メインストーリーは非常に面白いのですが、サブミッションはその数の多さの割に変化に乏しく、最初は新鮮なのですが徐々に作業感が増して苦痛になる部分がありました。

それ以外の部分についてはバグの存在を除けば殆ど問題なく、アサシンクリードを初めてプレイする方にとってもオススメの作品かと思われます。

難易度も高過ぎるということもなく、救済措置としてのスキルなどが豊富にありますので、アクションゲームに慣れていないプレイヤーでも詰まることは殆ど無いかと思われます。

少し変わったオープンワールド方式のゲームを遊びたいという方には是非一度プレイして頂きたい作品です。

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