原子力ネタ名作FPSの2作目 S.T.A.L.K.E.R. Clear Sky 批評

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今回は原子力の力によって云々、な感じなゲームの一つS.T.A.L.K.E.R.シリーズの2作目であるS.T.A.L.K.E.R. Clear Skyの批評です。

S.T.A.L.K.E.R. Clear Skyの概要

チェルノブイリ原発事故で生まれた世界のストーリー

ストーリーは実際に起きた1986年のチェルノブイリ原発事故を元ネタにしており、S.T.A.L.K.E.R.の世界線ではその後2006年に再びチェルノブイリ跡地で大規模な爆発が発生し、その半径30kmを汚染したという設定になっております。

このチェルノブイリ跡地を中心として汚染された地域はゲーム内ではZoneと呼ばれ、現在では様々な不思議な力を持つアーティファクトと呼ばれる結晶や、アノーマリーと呼ばれる致命的な超常現象、汚染によって突然変異した化物などが見つかる土地になりました。

そんな危険なZoneに入って金を稼ぐ人達はストーカーと呼ばれ、日夜個人間や派閥間問わず様々な争いに明け暮れています。

プレイヤーはZoneを研究する科学者集団の護衛任務の最中に災害に巻き込まれ、危うい所でZone内の不安定化の真相を探ろうとする派閥「Clear Sky」に助けられ、彼らと協力してZoneの謎に立ち向かうというのが本作の大まかな流れです。

因みに前作のS.T.A.L.K.E.R. SHADOW OF CHERNOBYLでは記憶喪失によって自分が何者かもわからない人物が主人公でしたが、本作の主人公はベテランのストーカーという設定になっております。まぁゲーム内の違いは特に無いんですけどね。

日本語化について

Steamで購入できるものは日本語に対応しておりませんが、自分で日本語MODを導入することで日本語化することが可能です。

また、公式が出している日本語版を購入することも可能ですので、日本人のプレイヤーでも言語の問題を感じることはないでしょう。

Steam版の日本語化作業の方法については、既に他のサイトの方々が説明しておりますのでここでは省略致します。

また、Steam版は980円で購入することが出来ますので、公式が出している日本語版を買うよりもこちらの方がお得です。(因みに公式日本語版は2019年3月現在のAmazonでは送料抜きで1800円となっております)

悪いと感じた部分

重量制限とゲーム性の不和

S.T.A.L.K.E.R.シリーズのゲームは銃が時々弾詰まりを起こしたり、そもそも精度が悪くて真っすぐ飛ばなかったりと、プレイヤーに対して快適さよりもリアル性を取り入れた不自由さを与えてくるゲームなのですが、そういった部分は戦闘の緊張感を増す効果もあって、特に問題があるようには思えませんでした。

ただ、重量制限に関しては、こういったゲームの面白さには繋がっていないように感じました。

S.T.A.L.K.E.R.の世界では武器だけでなく弾薬や回復アイテムなどにもちゃんと重量が設定されているので、大量に持っているとすぐに重量制限の限界値を超えてしまいがちなゲームになっています。

その為、十分なアイテムを持とうとするとすぐに重量制限をオーバーしてしまい、その場から動けなくなってしまうという事が良くありました。

また、限界値に近付けば近付くほどダッシュや歩き、ジャンプの際に消費されるスタミナの量が極端に大きくなります。

S.T.A.L.K.E.R.というゲームはオープンワールドのゲームであり、尚且武器は使い続けると劣化して徐々に精度が落ちたり弾詰まりの頻度が跳ね上がるので、広大なマップの移動や複数の銃を持つ事が自然と求められるゲーム性になっているのですが、その際にはこの厳しすぎる重量制限が常に悩みの種になりました。

アイテムの重量設定がもう少し低いか、もしくはデフォルトの重量制限の上限がもう少し高ければ良いのですが、今の状態だと単なるストレス要因にしかなっていないように感じました。

敵の硬さ

このゲームでは大抵の敵はヘッドショットで即死させることが出来ますが、その代わりという事なのか頭以外の場所に対する攻撃にはかなりの耐性があるらしく、ヘッドショットでは1発で済む敵でも胴体では40発程当てなければ倒せない事があります。

胴体へのダメージなら至近距離のショットガンでも数回耐える

これに加えて、取得し辛い弾の節約や反撃されると大ダメージを受ける事などから、敵を即死させることが出来るヘッドショットは攻撃手段の一つではなくほぼ必須の行為になっており、特に敵が硬い後半では自然と精度の高い銃ばかり使うようになってしまう為、折角多くの種類の銃があるのに、その意味が薄れているように感じました。

銃弾を何度も当て続けても死なないのは単純に不自然でもありますので、もう少し頭以外へのダメージも現実的なものに設定して貰いたかったです。

味方のAI

ミッションの内容によっては味方と共闘することがあるのですが、その際の味方AIの動きが非常に悪く、敵を撃たないどころか全く関係がない場所を撃っていたり、建物などを制圧する場合は、何故か一緒に突入してくれず建物の外で待機しており、こちらが四苦八苦してなんとか内部の敵を倒した後に「おつかれー」と言うような感じでぞろぞろ建物の中に入ってきたりと、もはや悪意を感じるような動きをしてくれます。

しかし、これはプレイヤー自身が敵を倒す喜びを奪わないようにしようという配慮なのかもしれませんのでまだ分からないでもないのですが、味方がプレイヤーを押し出して来る事には本当に参りました。

このゲームではプレイヤーの位置情報の優先度はNPCよりも低くなっているらしく、NPCの進行方向にプレイヤーが居た場合はプレイヤーがその位置から押しのけられます。

これのせいで遮蔽物に隠れていたら急に味方が来てこちらが遮蔽物の外に蹴り出され、そのまま敵に集中砲火を食らって死ぬという事が何度かありました。

せめてプレイヤーが進行方向にいる場合は迂回するAIにして欲しかったです。

無慈悲なほど正確に飛んでくる手榴弾

プレイヤーだけが手榴弾を使えた前作とは異なり、本作からは敵も手榴弾を使ってくるようになりました。

HALOを始めとして、FPSゲームでは敵が手榴弾を投げてくることはさほど珍しいことではないのですが、本作での問題は彼らのコントロールが良すぎる事にあります。

このゲームの敵が投げる手榴弾はプレイヤーとの距離がかなり離れていようとも、途中に遮蔽物が無ければ必ず足元にまで転がってきます。

スコープで狙うような距離から・・・
ポーイ☆
爆死

手榴弾が足元に落ちてから爆発するまでの間に一瞬だけ間があるのが救いですが、手榴弾で遮蔽物からあぶり出された時点で銃による集中砲火を受けますので、無傷で済むことは稀ですし生存率も結構低いのです。

これに関してはもう少し手榴弾の投射距離を狭めるなど、なんとかして欲しかったですね。

バグが多い

フラグ管理がおかしくなってNPCが妙な挙動をする、特定の道を通るとゲームが強制終了する、などのゲームの進行に対して致命的な物から、ドアのような薄いオブジェクトに敵の銃がめり込み、オブジェクトの向こう側から一方的に撃たれたりするなど、プレイヤーがガチで困る類のバグが目立ちました。

敵のAIにも少しバグのような挙動があり、木の葉や林などでこちらが見えていないにも関わらず、敵AIは射線さえ通っていれば射撃してくるようで正確にこちらを攻撃してきたり、射撃戦中に急にあらぬ方向に無防備に歩き始めて隙を晒したりと、思考ルーチンに少し問題があるように感じました。

特にラスボスはセーブとロードを繰り返すと棒立ちになってこちらが攻撃しても反撃もしてこないというサンドバッグ化バグがあり、これが起きるとゲームの雰囲気が台無しです。

青白く光っているのがラスボスです。バグにより変な場所で固まっちゃってます
撃たれても棒立ち・・・

発売日が2008年の9月と古いゲームですし、バグが多くなりがちなオープンワールドなので、当時の技術的にある程度は仕方がない部分なのかも知れません。

良いと感じた部分

緊張感のある戦闘

色々と不満点を並べましたが、このゲームの戦闘自体は非常に面白いです、難易度がベテラン以上の場合だと敵に撃たれれば文字通りほぼ即死するのですが、こちらの銃の精度が悪い事で単純なBOT撃ちにならず、敵との緊張感のあるギリギリの戦いを楽しめるようになっております。

特にヘッドショットが当たるとハリウッド映画並に物凄いオーバーなアクションで吹っ飛んだり、銃を乱射しながら倒れ込むなどの専用のモーションが発生するので非常に倒した時の爽快感があり、狙って撃つ楽しさが増しています。

人間の敵との戦闘ではAIがバグらずに上手く機能してくれると、こちらが撃つとちゃんと隠れたり、逆にこちらが待ち伏せをしていると別のルートから回り込んで来るなど、そこそこ賢い動きを見せてくれて戦闘が単調な物にならない様にも配慮されていました。

こちらが一度頭を出した後に、見つからないように迂回して後ろから回り込むと、まだこちらが前に頭を出した場所に銃を向け続けて無防備な姿を晒してくれたりというちょっと小粋な演出もあり、挙動のバグや手榴弾をピンポイントで投げ込んで来る部分を除けば戦闘系のFPSとしてとても良く出来ていると思います。

ホラーテイストな世界観

原発事故の爆発に加えて、常にストーカー達による派閥争いや、ミュータントの被害があることから、このゲームではマップ全体に陰鬱で荒廃した雰囲気が漂っていて、夜間の移動時などではプレイヤーをとても不安な気持ちにさせてくれます。

特に施設の内部などを探索する際には、ヘッドライトの明かりを頼りに暗い場所を長時間進む事になり、時にはミュータントなども出てくるので、まるでホラーゲームさながらの緊張感を味わうことが出来ます。

こういった雰囲気のゲームにはMetro 2033(因みにこれもロシアが舞台)やFallOutなどがありますが、本作の独特な世界観から発せられる重々しい空気や緊張感は他のゲームでは中々感じる事が出来ない物でしょう。

まとめ

アクション ☆☆☆

最近のゲームは戦闘時にプレイヤーが何らかの特殊能力が使える、と言ったプラスαの部分を設けて戦闘を面白くしようとする作品が多いですが、本作の戦闘は精度が悪く、弾詰まりもする様な銃を主に用いるという、プレイヤーが不利になる上にビジュアル的には地味な物にも関わらず、その戦い辛さによる緊張感や、それらを乗り越えて敵を倒しきった時の達成感は他の作品には無い魅力があり、シューティングゲームの根本的な面白さを追求しているように思います。

特に派手な特殊パワーが使えたり、戦闘終了時に大きな報酬が貰えると言った分かりやすい物があるわけでもありませんが、この戦闘の泥臭さと殺伐さは一度体験すると癖になる事でしょう。

ですがそういった魅力がある反面、本作から導入された敵の手榴弾や、重量制限による移動時のストレスなども目立ち、上記した良い部分の足を引っ張っているように感じました。

もう少しうまく調整すれば、更に良いゲームになったと思うので、そこら辺は残念ですね。

ストーリー ☆☆

ストーリーは全体的に薄く、ラストもかなり呆気なく投げっぱなし感のあるエンディングであったりと、シリーズ物の2作目であることを考えてもボリューム的に少し物足りない感じがありました。

正直全体的に印象に残る様な部分が殆ど無く、後半になると結構長い一本道で尚且戻れないというオープンワールドのゲーム性を自ら否定してしまうようなメインストーリーの流れもあり、作り込みの雑さも感じてしまいました。

音楽 ☆☆☆☆☆

S.T.A.L.K.E.R.というゲームは荒廃した世界観通り、ゲーム内でもド派手な音楽が流れるという事は無いのですが、雨や風、銃声、足音、ミュータントのうめき声などの環境音のクオリティが素晴らしく、プレイしている最中には荒廃した世界の臨場感をより一層高めてくれています。

品質 ☆☆☆

細かなバグが多く、一部にはゲームが強制終了してしまうなどの致命的な物もあり、バグ取りが上手く出来ていない印象を受けました。

総評点数 65/100点

序盤~中盤辺りに掛けては非常に面白く、理不尽な部分を除けばそれなりに楽しめるのですが、後半になると、敵の火力の異常な高さやピンポイントで飛んでくるグレネード、持ち物の柔流制限による弊害、敵の挙動に関するバグなど、このゲームの理不尽な要素がとりわけ顕著になる為、この辺りを受け入れられるかどうかでだいぶ評価が分かれる作品かと思います。

個人的には本作が面白くないということは決して無いのですが、S.T.A.L.K.E.R.シリーズとして全体を見るとやはり少々作り込みが荒い部分が目立ち、終わった後に体験を振り返ってみると、雑な部分ばかりが印象に残ってしまいました。

2019年3月現在、S.T.A.L.K.E.R.シリーズは全部で3作まで出ておりますが、Steamでのメタスコアを見ると、初代の「S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl」が82点、2作目の本作「S.T.A.L.K.E.R.: Clear Sky」が75点、3作目の「
S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat 」が80点となっている為、ユーザーからの評価では本作は残念ながらS.T.A.L.K.E.R.シリーズの中で一番面白くない作品という扱いになっているようです。

ただ、本作は上記したバグの様な敵の挙動で難易度が結構高くなってしまっているにも関わらず、それでも75点という比較的高い数値を出しているのは、それだけこの作品が光る部分を持っている事も嘘ではない事の証拠だと思います。

本作はS.T.A.L.K.E.R.シリーズに初めて触れるという方には正直余りオススメできませんが、現在ではバランスを調整するMODやバグを修正するMODなどが容易されておりますので(以下のURLをクリックするとWikiのMOD紹介ページに飛びます)、悪い評判を聞いて購入を避けていた方は、これらを導入してから一度プレイしてみては如何でしょうか。

MOD - S.T.A.L.K.E.R. ClearSky @ ウィキ
MOD 基本的にSTALKER FILESを参照する。 DLしにくい場合はSTRATEGY INFORMERで探してみる。 またはGSC公式フォーラムを見るのも良い。こっちはディスカッションもしている...

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