【アニメ感想】交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい

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最近のAmazonプライムビデオは色々なアニメを見ることが出来ますが、中でも何故かロボット系が結構充実しており、メジャーな作品は大抵見ることが出来るようになっています。

2005年に放送が開始されたエウレカセブンもその一つでして、TV版全話と幾つかの劇場版が視聴可能になっていたので、この機会にTV全話とタイトルにもなっております劇場版のポケットが虹でいっぱい(以下ポケ虹)を見てみました。

今回はそのポケ虹の感想を書きたいと思います。

内容は本編とポケ虹のネタバレを含みますのでご注意下さい。

別世界の出来事

ポケ虹はTV版のエウレカ達が居た世界の出来事ではなく、もう一つの別世界を舞台にした物語となっています。

別世界と言っても登場人物はTV版と同じで、レントンやエウレカ、ゲッコーステイトの搭乗員などはこちらの世界でも同様に出てきます。

設定も少し変わっていて、TV版ではコーラリアンと呼ばれていた者達が、ポケ虹ではイマージュという名前になっていたり、エウレカとレントンが幼馴染の関係になっていたりしています。

ただキャラクターの根本的な部分は同じで、ポケ虹の世界のレントンもパイロットとしての腕は優秀ですし、エウレカもTV版ではコーラリアン側の人物だったのと同じようにこちらの世界ではイマージュ側の人物となっております。

そのためTV版と同じようにロボットの戦闘シーンや、レントンとエウレカの種の違いによるあれこれはポケ虹でも見ることが出来るのですが、TV版とポケ虹での最大の違いは彼らを取り巻く環境と年齢です。

世界の環境とキャラクターの年齢の違い

実はこの世界のホランドを初めとしたゲッコーステイトの搭乗員全員は、実際には17歳の若者という設定になっています。

ポケ虹のホランド達は元々は戦災孤児という設定で、ある実験に巻き込まれた際の後遺症によって、TV版の世界の自分たちと同じ年齢になってしまい、更には普通の人間よりも3倍の速度で老化するようになってしまいました。

この設定が本作の重要なポイントとなっておりまして、ポケ虹のホランド達はこの出来事が理由でTV版のような人類とコーラリアンの共存を望む集団ではなく、自分たちの生存に固執する集団として描かれております。

彼らは自分たちに酷いことをしたこの世界を恨んでおり、イマージュと戦争中で物凄い劣勢に立たされている人類側すら裏切って、実験の際に垣間見たもう一つのTV版の世界に行けば、自分たちは助かるんだと仮定して行動に移します。

彼らは自分たちが巻き込まれた実験をもう一度引き起こそうとし、その為の力を持っているであろうレントンとエウレカを利用しようとします。

レントン達とホランド達はポケ虹ではこのような関係性になっているので、TV版のような仲間意識や信頼関係はほぼ皆無であり、寧ろレントンがホランド達に協力する事を拒んだので、本作では敵対関係にあると言って良いです。

キャラの扱いがちょっと・・・

TV版では仲間だったキャラクターが、別世界では敵対関係になるというのは別に良いのですが、その過程が少し雑に感じてしまいました。

理由としてはTV版とは違ってホランド達の過去があっさりし過ぎているので、キャラクターとしての深掘りがあまりされておらず、脇役のような扱いになっているように思えたからです。

実際には彼らは17歳なので、歳相応の年月をちゃんと生きてきたTV版の彼らのようなバックストーリーも無く、劇場版故に時間が限られているというのもあるかとは思いますが、せめてもうちょっと良い扱いをしてあげても良かったんじゃないかなぁと思いました。

特にハップとストナー(糸目の人とカメラマンの人)の扱いはとても酷く、彼らは被害妄想でエウレカに暴行を加え、それを止めようとしたレントンを持っていた銃で撃ってしまい、それに怒ったニルヴァーシュに叩き潰されて死んでしまいます。

TV版では毎回死にそうになりながらも最終的に1人も死者を出さなかったゲッコーステイトのメンバーでしたが、ポケ虹では大した活躍もせずに唐突に殺されてしまって、しかもその理由が自らの乱心によるもの、というのは見ていてちょっと可哀想でした。

ハップとストナーはTV版では時折子供っぽい所を見せるホランドを宥めたり、自らの信念を貫こうとするなど、自分をしっかりと持ったキャラクターとして描かれていたので、実際の年齢が17歳であり、しかもその寿命が凄い勢いで無くなっていく状態に焦っているのだとしても、彼らのこういった姿を見るのは辛かったです。

レントン達とコーダの視点で物語が進む

ポケ虹はレントン達の視点と、TV版では三賢人の1人であったコーダ(でかい杖をもったおばちゃん)の視点で物語が進んでいきます。

大雑把に言うと、レントン達の視点はこの作品の戦闘担当で、コーダの視点はこの作品の説明担当になっており、レントン達が四苦八苦している裏で、コーダはどうしてホランド達がこんな自体になったのか、などの事を視聴者に説明してくれるのですが、その過程でTV版のラスボス的存在だったデューイがこちらの世界ではロリコンで逮捕状が出ていたという事や、レントンの父親達がイマージュの研究をする内にカルト化してホランド達が巻き込まれた実験を引き起こして5万人もの死者を出したなど、TV版を見ていた身からするとえぇ・・・と思うような情報も多くありましたが、良く分からないポケ虹の世界観を説明してくれる貴重なパートですので、こちらにも結構多くの尺が使われています。

ただ個人的に辛かったのが音量のバランスをミスっているのか、それともAmazonプライムビデオ側の問題なのかわかりませんが、非常にキャラクターの声が小さい事が気になりました。

レントン達の戦闘シーンでは皆叫んでいたり声を張っているのでまだマシなんですが、コーダの説明シーンではボソボソ・・・ボソボソ・・・と喋るのでとても聞き取り辛く、え?え?今なんて言った?と巻き戻してもう一度聞いた場面が何度もありました。

劇場版アニメにはこういう事が稀にあるんですが、本作は説明が重要な映画だと思いますのでここら辺はもうちょっと何とかして欲しかったですね。

TV版からの使い回しシーン多数

ポケ虹を見ていると、TV版で見たことのあるシーンが度々出てきます。

絵の背景が同じというレベルではなく、TV版で使われていた機体や人物の動きのアニメーションをほぼそのまま持ってきています。

キャラクターのセリフだけは違うので、まるでTV版のシーンを切り貼りしたMAD動画のような事になっており、TV版を見た後にすぐポケ虹を見た私は何度も既視感に襲われました。

TV版のアニメーションを使っていないポケ虹オリジナルのシーンもあるにはありますが、エウレカセブンは動き回る戦闘シーンも見所の一つなので、劇場版ならではのそういったシーンを期待していたのですが、この部分はちょっと残念でしたね。

ラストはさらっと終わる

最後の最後はレントン達が自白剤を使って廃人にさせてでも協力させようとしてくるホランド達を振り切り、南極に集結したイマージュに大きな槍を突き刺して、その直後に太陽光を収束して放つ人類の最終兵器による攻撃が行われ集結したイマージュは消失します。

その際に謎の大洪水が発生し、ポケ虹の世界の大半は海で覆われてしまうのですが、レントン達はニルヴァーシュに守られて生き延び、ホランド達はタルホのお腹の中に自分たちのような急速な老化の後遺症が無い子供がいるのがわかった事で自分の命と別世界へ行く事に対する執着心が無くなり、運良く生き延びたコーダもこれからの自分の一生を使ってこの世界を記録する事を誓います。

大洪水が発生するシーンを見た時にはまさかの主要キャラ全滅エンドなのかと思いましたが、結果的にはレントン達を守って力尽きたニルヴァーシュ以外は死なず、その後も生き続けていくという結果になりました。

ただあれだけ生きることに執着して最後にはレントン達を殺そうとまでしていたホランド達が、タルホに子供が出来た事がわかっただけであっさり改心(?)した事や、何故か生き残ったエウレカが髪が伸びて全裸になり、更には言葉を発することが出来なくなっていた事など、ちょっと良くわからない部分はありましたが、一応ハッピーエンドかなと思います。

微妙かも

見終わった感想としましては、兎に角TV版からの使い回しのシーンや、キャラクターの扱いの雑さなどが目立ち、TV版からの流れで劇場版に新しいエウレカセブンを期待している方には少し合わないかと思います。

何故こうなったのかを少し調べてみると、この作品のWikipediaのページに以下のような記述がありましたので引用します。

本作では、テレビシリーズでシリーズ構成や脚本などを担当した佐藤大は参加しておらず、京田知己が監督兼ストーリー構成、脚本を手掛けたことで、京田個人の特色がより色濃く反映されている[3]。またテレビシリーズの特色の一つであるサブカルチャー色は控えめになっており、特徴であった電子音楽も流れない。

企画当初は、テレビシリーズ1話から48話の総集編、及び充分にエピローグを描けなかった49話・50話を再編集と新作カットで補完した2本立てにする案だったが、2本では劇場の回転数が減るという理由で却下されている[4]。その後、映画は1本という方向で進んだが、制作現場の関係者との交流をもとに京田が作った新たなストーリー案が却下され、京田自身は「これは無いな」と思ったアイデア[5]が実際に採用された。当時のインタビューでもたびたび語ったという説明は全く伝わらず、結果「テレビシリーズを再編集しながらも、総集編ではない劇場用アニメの制作に挑戦したい」[6]というような内容で掲載された。

Wikipediaから

これを見る限りではどうやら制作陣の意図がうまく実現できなかった感じに思えます。

本作は商売的にはTV版のエウレカセブンの人気もあってか最終的には7万人の動員を達成して成功した部類に入るようですが、アマゾンでの評価を見ても低評価の数が少なくない為、やっぱり本作の作風がちょっと合わない方も多かったみたいです。

人によって賛否が分かれる作品かとは思いますが、ちょっと異質なレントン達の物語や、TV版以上にイチャイチャするレントンとエウレカを見てみたい方は一度ご覧になっては如何でしょうか。

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