Wolfenstein: Youngblood 感想

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FPSゲーム「Wolfenstein: Youngblood」の感想です。

内容はネタバレを含みますのでご注意下さい。

概要

ナチスという物は昔から様々な作品でエイリアンやゾンビやテロリストなどと一緒に作品の悪役として使われてきましたが、このWolfensteinシリーズは1981年からナチスを悪役として描いてきたかなり年季の入ったゲームで1992年に発売された「Wolfenstein 3D」で初期のFPS作品の代表作となり、開発会社であるid Softwareはこの作品の技術を応用して、あのFPSの金字塔である「DOOM」を作るなど、FPSゲームの歴史にとても貢献したシリーズでもあります。

そんなWolfensteinシリーズのスピンオフ的な作品である本作は、シリーズの顔でもあるアメリカ軍人のB.J.ブラスコヴィッチの子供である2人の姉妹が主人公となっており、今までのWolfensteinシリーズには無かった女主人公であったり、協力プレイ、レベル制、オープンワールドっぽいマップ構造とそれを利用したクエスト制度など、様々な新しい概念が導入された作品となっております。

協力プレイ

本作の特徴はなんと言っても2人で協力プレイが出来るという点です。

主人公の姉妹であるジェスとソフは常に2人で行動します。

マップ上での戦闘の際には仲間にエールを送る事で体力を回復させたり、体力が無くなってダウン状態になった味方を起こすなど、協力プレイが出来るゲームでのお約束的な動作は一通り行うことが可能です。

ただ私がプレイした際には他のプレイヤーとマッチングしなかったので、全編を通してオフラインモードでプレイしましたから、今から協力プレイで本作を遊びたいと思っている方は一緒に遊んでくれるフレンドが居ないと厳しいと思います。

また、本作にはレベル上げやマップ上のシークレットアイテム集めなどの作業も存在する為、Killing Floorシリーズのような一期一会制のCO-OPゲームではないので、かなり気長に付き合ってくれる方が居ないと協力プレイではうまく足並みを合わせられないと思います。

レベルという概念

ボーダーランズシリーズでは敵を倒すことで経験値を獲得し、レベルアップしてスキルを強化していくことで徐々にキャラクターを成長させていく事が出来ますが、本作にもそれに似たようなレベル制度が導入されております。

レベルが上がることによって耐久力や攻撃力が上昇し、獲得したスキルポイントを使用する事で様々なアビリティを覚える事が出来ます。

ただ、この仕様があるせいで自分よりもレベルの高い敵が相手の場合にはどれだけ銃弾を撃ち込んでも雀の涙程のダメージしか与えることが出来ず、敵からの攻撃は全てがスナイパーライフル並の強烈な威力で飛んできますので、半ば強制的にレベル上げの作業を強いられる事にもなります。

ザコ敵から貰える経験値がそれなりに多い為、レベル上げ作業自体はそれほど時間が掛からずに終わりますが、今までのWolfensteinシリーズに慣れ親しんでいた方からすると攻撃を当てているのに敵が全然倒れないという部分には違和感を感じるかもしれません。

実際に私も最初のクエストを実行しようとマップを進んでいたら、自分よりもレベルの高い敵が居る地点に入り込んでしまったらしく、為す術も無く一瞬で即死してしまう事がありました。

今回は体力が無くなってもダウン状態になるだけで、味方が起こしてくれればすぐに復活することが出来るので、ある程度はゴリ押しで強行突破することも出来ますが、正直理不尽感は否めませんでしたね。

各ミッションはクエスト方式で受注

FPSゲームのキャンペーンモードというのは、Call of DutyやHalf lifeなどの一本道方式か、S.T.A.L.K.E.R.やボーダーランズなどのクエスト受注方式の2つがあると思いますが、本作は以前までのWolfensteinが採用していた一本道方式ではなく、レジスタンスの拠点となる地下墓地に居る人々から依頼を受けるクエスト受注方式になっております。

そのため従来の一本道かつステージクリア方式のWolfensteinとはまた異った自由なゲーム体験をすることが出来ますが、ミッションを受注する度に同じ場所に何度もいかなければならない事による絵面の代わり映えの無さや、行動がパターン化してしまうなどのマイナス面もありました。

特に新しい武器が手に入らなくなった辺りからはほぼ同じ行動を繰り返すだけになってしまい、FPSゲームの醍醐味である戦闘の楽しさがあまり感じられなくなっていました。

ボーダーランズなどのゲームでは派手なスキルや多様な武器、S.T.A.L.K.E.R.では元々の戦闘システムのシビアさとスリルによって、これらの同じマップを繰り返すことによるマンネリ感が薄まっていたように思いますが、本作では変化の幅が乏しく感じられた事が残念です。

スキルポイントがもう少し潤沢に手に入り、スキルの内容も今より派手で面白い物があれば違ったと思うのですけどね。

ゲーム内で入手出来る通貨を使っての武器の強化や改造なども行えるのですが、これも後述する理由で威力重視で改造するのが無難なので、最初のうちは面白いと感じましたが、後半になるにつれて気付けばどの武器も同じ様な威力重視の強化をしてしまっていました。

少し不満あり

様々な要素を初めてシリーズに導入した事もあってか、その内容は少し作り込まれていない部分を感じました。

不満を感じた点は幾つかあるのですが、まず1つ目は敵やオブジェクトが時折壁にめり込んでしまう所です。

こういった不具合は3Dゲームにはありがちな物ですので、アイテムやオブジェクトが壁にめり込む分にはまだそれほど気になりませんが、流石に敵がめり込んで完全に動きが止まっているというのはシュールに感じてしまいました。

特にワープを繰り返してこちらを翻弄にしてくるロボットの敵はこの様に壁に半身が壁やオブジェクトなどにめり込んでしまう場面が結構あった様に思います。

調べてみますとこの敵は後からアップデートによって追加された敵との事ですので、十分にテストする時間が無かったのかもしれません。

2つ目は敵の硬さです。

本作は協力プレイが売りの作品ですので、恐らくは2人のプレイヤーに同時に撃たれることを想定して敵の耐久力が設定されていると思いますが、味方がAIになっている場合には積極的に攻撃してくれるかどうかに割と運次第な所がありますので、運が悪いとパワースーツを身にまとっている敵や、巨大ロボットなどの物凄く硬い敵をほぼ1人で削りきらなければいけない時があります。

その時の硬さが異常な程に硬く、通常のアサルトライフルなどでは持っている弾を全て撃ち尽くしてもまだ体力が半分近く残っている程です。

一応対応手段としては両手持ちの大型兵器であるユーバーハンマーを叩き込めば良いのですが、このユーバーハンマーを持ち歩く事を可能にするためには専用のスキルを入手する必要があり、また威力の改造も行わなければいけない為、序盤から中盤や、大型兵器系のスキルを伸ばしていない方にとってはかなりの苦行を強いられる事になるかと思われます。

この様な硬い敵には弱点も存在するにはするのですが、それが背中に付いていたりする為、意思疎通の出来ないAIが味方の場合にはうまく挟撃して弱点を攻撃することが出来ず、結局真正面から大量の銃弾と、あまり積極的には攻撃してくれないけど敵に勝る程に異常に硬い味方AIを頼りに自分がダウンしても何度も復活させてもらうゾンビ戦法でゴリ押しする場面が多かったです。

耐久力の高い敵と戦う楽しさも理解できるのですが、ボス戦や中ボス戦ならまだしも通常の戦闘で硬い敵がわんさか出てくると流石にうんざりする事もありましたので、出来れば耐久力をもう少し下げて欲しかったですね。

最後の3つ目は移動です。

レジスタンスの味方から依頼を受け、それを達成するためにナチスに制圧された様々なエリアをめぐるのですが、クエストの進め方によっては何度も同じエリアに行くことになるので、そこで最リスポンした同じ敵と何度も同じ様な方法で戦う事になり、作業感を感じる面が否めませんでした。

また、マップ上には主人公である姉妹2人で協力しなければ開かないドアなどが存在するのですが、これらを開ける際にはスキップ不可能な演出を見なければならず、それによってある程度の時間が掛かる上に、一つのマップ上に結構な数が存在するので、クエストで同じマップを何度もプレイする事になる点と相まって、何度もこういったドアを開けさせられるのはゲームのテンポが削がれている様に感じました。

綺麗なグラフィック

上記では微妙に思える点を多く挙げてきましたが、良いと思える部分もあり、その中でもグラフィックの精巧さには特にクオリティの高さを感じました。

ナチスに支配された町並みの無機質さや、その中での敵兵士達の娯楽品が並ぶ風景といったギャップなど、マップ作りの力の入れようもさることながら、敵キャラや銃のモデルもしっかりと作られており、本作の独特な世界観が非常に良く表現されていました。

軽めの雰囲気

今回の主人公はゴリゴリの軍人であるB.J.ブラスコヴィッチではなくその娘たちである為か、Wolfensteinらしくないおちゃらけた感じの態度でストーリーが進行していきます。

各ムービーやプレイ中に発生する姉妹の会話や無線での発言なども、以前のナチスの驚異とそれに立ち向かう人々の不屈の精神を描いていた以前までの重々しい雰囲気とは全く異ったノリであり、これは好き嫌いが分かれる部分かとは思いますが個人的にはあくまでもスピンオフ作品としてなら、これらのキャラ付けやシナリオは好きな部類の物でした。

ボーダーランズなどのちょっとおふざけが含まれたノリのストーリーに慣れ親しんでいる方にとっては、本作の軽い雰囲気は割と受け入れやすいのでは無いかなと思います。

まとめ

レベル制やクエスト方式など、色んな新しい要素を入れてくれたのは良いのですが、それによってゲームの肝心な部分の面白さが薄まってしまっていた様に感じます。

様々な要素があっても、敵の耐久力やその数の多さなどによって、結局は最も適した方法で戦う事がほぼ強制されるようなゲームバランスになっており、過去作にあったようなステルスプレイも、キャラクターがかなりの高レベルになって十分にステルス系のスキルを入手した後で無ければ難しく、プレイ方法の幅の狭さを感じ単調さが目立っていた様に思います。

一方でWolfensteinシリーズのグラフィックの良さや、しっかりとした操作性などの良さは健在でしたので、セールで半額になっている時などに購入すれば損はしない作品かなと思いました。

2人で協力プレイが出来るFPSゲームが欲しい方などは、是非一度購入を検討してみては如何でしょうか。

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