【ゲーム感想】Dark Messiah of Might and Magic

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今回はファンタジー世界を舞台にした一人称視点固定のアクションアドベンチャーゲーム、Dark Messiah of Might and Magicをクリアしましたのでその感想を書いていきたいと思います。

ゲーム概要

Dark Messiah of Might and Magicは現在では「Arx Fatalis」「Pray」「Dishonored」などの作品で有名なArkane Studiosがシングルプレイ部分を制作したゲームで、Half-Life2に使用されているSourceエンジンが用いられている事でも話題になった作品です。

その内容は主人公のサレスが師匠であるフェンリグ(以下画像右)からの指令によって数千年前に封印されたカ・ベレスと言う魔王の復活を阻止する為、フェンリグ師から託された精霊ザナ(以下画像左)の力を借りながら孤軍奮闘していくという一見王道的なストーリーになっています。

このMight and Magicと言うシリーズは日本ではあまり知名度が高く有りませんが、実はRPGの代表作としても有名なあのWizardryやUltimaなどと並んで3大RPGとも呼ばれる著名なタイトルであり、本作もその内容を反映したゲームとなっております。

ですが有名RPGとは言っても、その設定を使ったゲームが良いゲームになるか否かというのは別の話のようでして、本作の他にもMight and Magicの世界観を舞台にしたアクションゲームとして1999年発売のCrusaders of Might and Magicと、2001年に発売されたLegends of Might and Magicが出ているのですが、どちらも微妙な評価となっています。

また、Might and Magicは元々はオリジナルゲーム機なども開発していた3DOと言う会社が所有していたタイトルなのですが、2003年の5月にこの会社が倒産してしまったので、現在はその権利はUbisoftが所有しています。(因みに2020年現在ではUbisoftによってスマホゲーが作られたりしており、そのトレーラームービーを見た当時からのファンに嘆かれていたりもしています)

そんな色々な紆余曲折を経て2006年に制作された本作は、当時のファンにとってはまさに待望の新作でもあったと思われますね。

尚、本作にはDark Messiah of Might and Magic: Elementsと言う名前のXbox360への移植版が存在するのですが、PC版以上にバグが多い事などからどうも劣化版扱いされている様ですので、よほどの理由がない限りはSteamにてPC版を購入されたほうが良いと思います。

日本語化可能

本作は元々日本語が用意されていない作品ですが、日本の有志の方々が日本語化を行ってくれていました。

ファイルのリンクをここに直接貼るのは問題があるかもしれませんので、気になる方はGoogleにて「Dark Messiah of Might and Magic: Elements 日本語化」と検索してみてください。

ただムービーは元々字幕がない為か日本語化出来ませんので、その辺りは有志の方がムービーなどを日本語訳しているプレイ動画などを御覧ください。

良いと思った所

キャラクター育成要素

本作では物語を進めていくごとに得られるスキルポイントを使ってキャラクターを育成していくことが出来ます。

取得できるスキルには大きく分けて戦士系、魔法使い系、盗賊系の3タイプがあり、それぞれのスキルを重点的に取っていくことで戦士プレイや魔法使いプレイをすることが可能となっておりますので、ゲームを一旦クリアした後でも異なるプレイスタイルのキャラクターで再度遊ぶ事が可能である為、リプレイ性が高い作品と言えます。

もちろん特化型では無く、各タイプのスキルを満遍なく取得してハイブリッド型にすることも出来ますが、スキルツリーの下側にある強力な能力を持つ上位スキルを取得するためには、上側の基本スキルをある程度取得して置かなければいけない事や、1ゲームで得られるスキルポイントには上限がある事などから、個人的には本作では各タイプの特化型にした方が冒険が楽になると思います。

因みに私は1周目は戦士型、2周目は中盤まで魔法使い型でプレイしたのですが、戦士型は回復手段がアイテムに限られるので序盤は少し辛い思いをしますが、基本スキルが上がって強力な武器も手に入る後半では敵を圧倒できる能力を持っている様に感じた一方で、魔法使い型はマナが自動回復するという仕様によって魔法が時間さえあれば何度でも使える故に威力も高く、更に命中率が剣などの近接武器に比べて非情に高い上に回復魔法も使えるので攻守に優れ、序盤から既にかなり冒険が楽に感じました。

また、盗賊型は個人的にあまり爽快感が得られず面白く無さそうに感じて私は殆どプレイしていませんが、マップには敵の背後を取ったり、或いは見つからずに避けて通れる様な抜け道がちゃんと用意されておりますので、隠密プレイが好きな方も十分楽しめるのではないかなと思いますね。

様々なアクションと迫力のあるアドベンチャー

一人称視点のアクションゲームはプレイヤーとキャラクターの視点を同じにすることで臨場化を出すことは出来ますが、その反面三人称視点のアクションゲームの様な、キャラクターが空中で回転したり、高速移動したりと言った見た目的に派手なアクションを行うことが難しく、戦闘が単調な物になってしまいやすい傾向にあるのですが、このゲームはオブジェクトなどを用いた様々な戦闘方法を行うことが出来るので、戦闘面で退屈する事は殆どありませんでした。

例として、本作ではFキーを押すことで蹴りを行えるのですが、これを使って敵を崖や壁から突き出ている釘板に蹴り飛ばして串刺しにしたり、少し高い場所から落下させて即死させることが出来ます。

また、天井からぶら下がっているシャンデリアや脆い木で出来ている柱を崩して落ちて来た箱などを敵に直撃させて倒すなど、マップ上の様々な場所にプレイヤーが攻撃に使えるオブジェクトが配置されていたりもします。

基本的に主人公は一人だけで戦いますので、複数の敵が同時に襲ってくる場面では割と振りな戦いを強いられてしまう事が多いのですが、これらのアクションを状況に合わせて適切に用いることで、不利な状況でも殆ど被害を受けずに切り抜ける事が出来ます。

若干蹴られた敵の動作が不自然な時もありましたが、戦闘の選択肢の幅が広がっているのは好印象でした。

また、一定数の攻撃を相手に命中させてクリティカルゲージを溜める事で強力な攻撃や、鍔迫り合いなどが発生する点が良いアクセントになっていたり、戦闘以外でもロープ付きの矢を木などに放ってよじ登ったり、逃げる敵を追って街の屋根の上を走り回ったり、足場の悪い場所で巨大な敵に追いかけられたり、少しユニークな要素では自分で鉄を溶かして剣を作ったりなど、様々なアクション要素がファンタジー世界を冒険している感じを引き立ててくれていて非情に楽しかったです。

敵も人型から気味の悪いクリーチャー、ドラゴン、サイクロプスなどの種類が存在し、総数自体は少ないもののマップの雰囲気に合わせて出現シーンが用意されていたり、適した場所に配置されたりしていますので、しっかりとファンタジー世界を冒険している感覚を味わうことが出来ました。

多彩なアイテム

本作は主人公が装備できるアイテムも魅力的で、数自体はそれほど多く無いのですが火属性の杖や雷属性の短剣、敵の体力を奪い取る剣などと言ったファンタジー感溢れる武器や、つけるだけで体力が徐々に回復していく指輪などのアイテムを装備することが出来ます。

装備できるアイテムは、武器、盾、服、指輪の4つで、それぞれ特色のあるものが用意されていますので、プレイスタイルによって装備するアイテムを考えたり、敵の種類によって属性武器を使い分けるなど、創意工夫の余地がある点が魅力的だと感じました。

見どころのあるストーリー展開

本作はプレイヤーの選択次第で4種類のエンディングを見ることが出来るマルチエンディング形式となっており、どのような行動をするのかをプレイヤーに迷わせるようなストーリー展開や各キャラクターの言動などがあって面白かったです。

特にエンディングに関わってくるのが主人公に協力してくれる精霊のザナと、途中から主人公に協力してくれる魔術師のリアンナで、この二人のキャラクターのどちらの言うことを聞くかでエンディングが変わってきます。

ゲームの合間合間に挟まれるムービーや、各キャラクターの演技、ゲーム中に発生するプレイヤーに選択を迫るイベントなどのクオリティも高く、アクションゲームでありながら普通にストーリーも楽しめるのが魅力的に思えました。

ここはMight and Magicと言う名作RPGのシリーズならではの完成度にも思えますね。

悪いと感じた所

痛すぎる毒ダメージ

本作では中盤辺りに当たると毒状態になってしまう攻撃を行ってくる敵が出てくるのですが、この毒状態の仕様に少しストレスを感じました。

毒状態では一般的な他のゲームと同じ用に時間と共に徐々に体力が削れていくのですが、この削れ方のスピードが非情に速い為に気を抜くとそのまま敵との通常攻撃と合わさって即死してしまう事が多く、更に毒状態が自然回復するまでかなりの時間が掛かるので、運悪く回復アイテムが無い時に毒状態になってしまった場合は一度も攻撃に当たらない様に敵から逃げ回り続けなければいけません。

そんな致命的な状態に陥ってしまう毒状態なのですが、中盤から頻繁に出てくる的である蜘蛛は通常攻撃、ゾンビは距離が少し離れている場合の毒息攻撃でこれを行ってくるので、相手にしていて非情に面倒に感じました。

幸い毒によるダメージは体力をギリギリまで奪うのみでこれだけで死に至る事はありませんが、体力の回復手段が限られている戦士型の育成をしている場合はこの毒で失った体力を回復するだけで大量の回復アイテムを消費させられる為、場合によっては回復アイテムが枯渇して非情に辛い状況に陥る事もあると思われます。

一応対策として巨大蜘蛛の毒攻撃は通常攻撃と同じですので盾などによるガード、ゾンビのガスについては魔法の盾か或いは横移動それぞれ回避することが可能ですが、この巨大蜘蛛とゾンビの攻撃にはモンハンなどで言う所の予備動作的なものが非情に分かり難いので、回避するタイミングがシビアなのが難点。

特にゾンビのガスはバグなのか時折地形を貫通して当たる時もありますので、集団で出現する場所ですと毒攻撃の回避は非情に困難で理不尽を感じる事もあります。

救済策としては毒によるダメージを軽減するスキルが存在するので、これを取得すれば若干マシになってくれますが、このスキルを取るだけでも相当な数のスキルポイントを要求されるので、出来れば毒無効の指輪などの他のもっと手軽な救済策を用意して欲しかったです。

動作が不安定

Half-Life2の時点でバグが多いと言われていたSourceエンジンに独自の改造を加えた事や、オブジェクトなどが多すぎて十分な最適化が行われなかった為なのか、本作はその動作の不安定さで当時のプレイヤーが阿鼻叫喚していたらしく、かなりの問題作的な扱いをされた過去があるのですが、PCのスペックが当時と比べて格段に向上した今でもその動作上の問題には困らされました。

自分がプレイした中で一番頻度が高かったのが何の前触れもなく唐突にゲームが強制終了してしまうバグで、ゲームの進行が巻き戻ってしまう事が度々ありました。

一応この問題はこまめにクイックセーブを行ったり、チャプターごとに行われるオートセーブなどのお陰で致命的な程の事にはなりませんでしたが、もう少し安定した動作にしてほしかったですね。

まとめ

発売当時や背景には色々な問題があった作品で、それがメタスコアの低さにも繋がっていると思われますが、オープンワールドではないオブリビオン的な世界観や意外性のあるストーリーなど、バグなどの問題などがあるものの全体的には高いクオリティでまとまっており、各チャプターではマップがしっかりと切り替わるので中だるみする事も無く最後まで楽しめた作品でした。

現在はあまり知名度が高くない作品になっているように思われますが、このクオリティを考えれば隠れた名作、とは言わないまでも隠れた良ゲーではあると思いますので、まだプレイしたことの無い方にはぜひ一度この独特の世界観に触れていただきたいです。

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