【ゲーム批評】コーエーテクモゲームス製作のモンハンライクなゲーム 討鬼伝2

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今回はコーエーテクモゲームスから発売されているゲーム「討鬼伝2」の感想を書いていきたいと思います。

内容はストーリーなどのネタバレを含むため、まだクリアされていない方などはご注意下さい。

概要

本作「討鬼伝2」は2013年6月27日に発売されたPS VitaとPSP向けに発売された初代「討鬼伝」の続編となる作品です。

本作は異界の存在である大量の鬼の襲来よってそれまでの文明が滅ぼされつつある明治時代の日本が舞台となっており、主人公はその鬼と戦う訓練を受けた戦士「モノノフ」の一員として鬼の襲来に対処していた所、突如空中に開いた大穴に飲み込まれて強制的に10年後の未来に飛ばされ、その後鬼と戦う最前線の集落であるマホラバの里に流れ着くという所からゲームの本編がスタートします。

特徴

携帯機向けとして制作された初代討鬼伝とは異なり、討鬼伝2はPS4やPS3などの家庭用ゲーム機でも開発された為、その高いスペックを活かして本作からはシームレスに移動できる巨大なマップ上でストーリーが展開される所謂オープンワールド形式でゲームが進む様になっており、前作との大きな差別化が図られております。

モンハンライクの作品らしくモンスターを討伐して入手した素材によって作れる多様な武器や防具、食事によるステータスバフなど、本家モンハンをプレイしている方であれば馴染み深い要素が存在していますが、本作ならではの要素として本家モンハンにはない特徴的なシステムも複数存在しております。

部位の切断と再生

本作では巨大モンスターである鬼の腕、足、角、尻尾などの各部位は攻撃を当てる事でダメージが蓄積され、一定のしきい値を超えると切断や破壊が可能になっています。

ですが切断や破壊した部位の残骸を放置していると、一定時間後には鬼がその部分を再生する様になっており、これを防止する為に切断した部位を浄化する「鬼祓い」を行ってその部位を封印することで再生を防ぐ必要があります。

本家モンハンで例えると、尻尾を切断したあとに尻尾の剥ぎ取りをしないと一定時間後に尻尾が再生してしまうという感じです。

完全に切断出来る部位は予め設定されている様で、足などは切断できますが攻撃に必要な腕などは完全に切断しても半透明な腕が残りその腕を使って攻撃してくるので、仮にすべての手足の切断と鬼祓いを行っても敵がだるま状態になって一方的に殴れるという事はありませんでした。

また、敵を攻撃する事で貯まる武器ゲージを使用することで、一撃で部位を切断できる必殺技(鬼千切)なども用意されております。

鬼の体力の設定

本家モンハンでは基本的に敵にダメージを与える事はそのまま敵の体力を削る事に繋がりますが、本作の大型の鬼は体力の体力を削るためにはまず部位破壊を行わなければいけません。

部位破壊は一つの部位に一定のダメージを与えれば発生し、一旦部位破壊を行った部分は半透明に表示され、その部分への攻撃はアーマーの有無は関係なしに体力を削ることが可能となります。

鬼の手

本作では人間の思念を具現化する事で伸縮自在かつ大きさも自由に変更できる「鬼の手」と呼ばれるアイテムを使ったアクションが可能で、これを使って壁を掴んで高いところに飛び乗ったり、敵に当てて一気に距離を詰めると言った事が出来ます。

また、共闘ゲージという味方との共闘によって貯まるゲージが最大の状態で使用すると、狙った敵の部位を1発で破壊+転倒させるという強力な一撃「鬼葬(おにはぶり)」を放つことが出来、敵を一瞬で追い詰めることが可能です。

他にも、本作では敵が赤いオーラをまとった状態で強力な突進攻撃を行ってくる事がありますが、このタイミングに合わせて鬼の手を敵に当てることで、足払いの様なアクションを発動させて敵を転倒状態にさせる鬼返(おにがえし)を行うことも出来ます。

ミタマ

ゲームをある程度進めると、過去の英雄の魂であるミタマを複数入手することが出来ます。

このミタマは装備することが可能で、装備するミタマによって自分や味方へのバフ、範囲回復、攻撃の手数を増やすなど、強力なスキルを使うことが可能になります。

体力の回復もこのミタマのスキルよって行う事が出来、スキルの使用回数は時間経過などで回復する為、本家モンハンの様に回復薬などのアイテムを購入したり調合したりする必要はありません。

仲間(NPC)を連れていける

マップの移動時や鬼の討伐クエストを受ける際などには最大3人までの仲間(NPC)を選んで連れて行くことが出来、選べる仲間はメインストーリーを進める毎に増えて行きます。

また、マップ上での共同作戦と呼ばれる場所で大型の鬼を討伐することで、ランダムなNPCを一定時間仲間に加えることが出来、最大5人で敵と戦うことが可能です。

悪いと思った点

マップが少し不親切

本作は広大なオープンワールドが舞台である為、目的地に移動する際にはマップを見ることが必要になるのですが、そのマップに表示されている道などが一部の場所では分かりづらく少し迷子になってしまうことがありました。

クエストなどの目的地はマップ上に場所が記されるのみで、GTAシリーズなどの様に現在地から目的地までのルートを表示してくれたりしない為、できればナビ機能をもう少し分かりやすくして欲しかったです。

ザコ敵が鬱陶しい

本家モンハンでは大型のモンスターと小型のモンスターが居た様に、本作でも大型の鬼と小型の鬼が存在し、小型の鬼がザコ敵にあたるのですが、このザコ敵が結構鬱陶しく思いました。

ザコ敵は大抵の場合複数で出現し、こちらが3人の味方と一緒に居る時に戦えば一瞬で倒せるのですが、ストーリーの進行上の都合や、味方が他の敵に気を取られている時などで自分一人でザコ敵を相手にしなければいけない場合は話が違ってきます。

本作の一部のザコ敵はこちらの攻撃による怯みを無効化できる所謂スーパーアーマーを使うことが出来る様で、こちらの攻撃を当てても必ずしも怯むわけでは無い為に連撃によって一方的に殴って倒すという事は出来ず、それに加えてザコ敵の攻撃に当たると怯み、もしくはふっ飛ばされてしまうので無理に攻撃しようとすると逆にこちらが連続で攻撃を食らってしまう事が度々ありました。

また、ザコ敵の体力はこちらが仲間を連れている状態での戦闘を基本として設定されているらしく、こちらが単独で相手取る場合には半端な武器ではザコ一匹倒すのにも割と多くの回数の攻撃を当てる必要があって苦労させられるのですが、上記のスーパーアーマーに加えて一部の敵は上空に逃げて距離を取ってきたりするので中々攻撃を当てれずにストレスを感じる事が多かったので、せめてこちらが攻撃を当てた場合には確定で怯むようにして連撃で倒せるようにして欲しかったですね。

「強くてニューゲーム」が欲しかった

本作はメインストーリーが魅力的なのですが、一旦それが終わってしまうとオマケ要素的なサブクエストや討伐任務以外はもう殆どやる事がなくなってしまいます。

一応クリア後の報酬として難易度の変更が出来るようになり、上級と下級が選べるのですが、どうせなら難易度が少し上がった状態で、再度集めるのが手間な装備品などを引き継いだ状態でのストーリーの初期化、所謂「強くてニューゲーム」機能が欲しかったですね。

良いと思った点

夢中になれるストーリー

ストーリーは主人公が仲間達と一緒に戦いながら世界を浄化していく過程で、仲間たちの抱えている秘密や黒幕の存在が明らかになってくるという王道物で、合間合間に挟まれる迫力のある3Dムービーや、様々な事件が突如発生する飽きさせ無いストーリー展開なども相まって最初から最後まで中弛みすること無く夢中でプレイすることが出来ました。

作中に登場するそれぞれのキャラクターはどれも魅力的であり、声優さんの演技のクオリティも高いので、キャラクターの素性が徐々に明らかになっていったり、悩みなどが解決されて行く点は日本製の良いRPGゲームをプレイしている時の様な面白さを感じました。

破壊演出が派手な戦闘

他のモンハンライク系では中々無い部位破壊に重きを置いた本作の戦闘は、最初は少し面倒であるにも感じましたが、戦闘を続けていくと部位破壊時の演出などが派手で爽快感を感じられる様になり、連続で部位破壊を行うことで敵を常にダウンか怯み状態にしてハメ殺し出来るテクニックなどもあって本家モンハンとはまた異なった楽しみ方をすることが出来ました。

特に鬼の手によって行える部位破壊には専用のモーションやカメラワークがあってかなり派手で、大型の鬼をこれを叩き込んで高いダメージを与えられる快感はコーエーテクモゲームスの看板シリーズである無双作品で培ってきた演出面の技術の高さを感じさせてくれます。

反面、敵の攻撃の回避がさほど難しくなく、もし避けきれずにダメージを受けたとしてもスキルですぐに回復が可能、かつ複数人での戦闘が行える上にフレンドリーファイアなどの要素も無い為に位置取りなども考えずゴリ押しで戦っても殆ど問題の無い戦闘面は、強力な敵の攻撃を回避しながら隙を見て攻撃を叩き込む様な本家モンハンの堅実な戦闘とは程遠い大味さを感じさせる所はありますが、ただひたすらに攻撃を叩き込んで敵を一方的にボコボコに出来る本作の戦闘は結構癖になる部分もあり、これはこれでモンハンライクの一つの完成形では無いかなと思います。

世界観の完成度

オープンワールドを採用しているゲームの中にはマップのどこに行っても大して代わり映えのしない風景が広がっていて、単にマップを広くしただけに感じる様な作品も珍しくないのですが、本作では巨大なマップの各エリアごとに雪原や滅ぼされた都、洞窟や寺院などの特色があり、鬼の進行を受けた世界観を様々な形で見せようとしている事が伝わってきて良かったです。

マップの一部には重力などを無視して岩や足場が浮いている様な場所もあるのですが、ストーリーの設定やマップのグラフィックを作り込んでくれているので、そういった部分もこの作品の世界観として違和感のない風景に仕上がっている点などにも、今作から採用したオープンワールドを活かそうとグラフィックに力を入れてクオリティの高いものに仕上げようとしているのを感じる事が出来ました。

まとめ

アクション ☆☆☆

部位破壊や鬼の手による派手かつ爽快感のある演出やアクションはプレイしていて楽しいです。

ですが何度も繰り返していると戦闘面での大味さを感じる点もあり、装備が整って火力が上がってくる後半辺りからは部位破壊等による連続での怯みやダウンを取れるのでほぼハメに近い状態となり、ゴリ押し気味でも勝ててしまうので敵との戦闘での緊張感があまりない様に感じてしまうこともありました。

良く言えばそれほど難しくないのでアクションゲームに慣れていない方でも大丈夫な難易度ではあるのですが、出来ればもう少しだけ回避行動が重要になって緊張感の生まれるバランスにしてくれれば、もっとやりごたえのある戦闘になってくれると思いますので次回作ではその辺りも期待したいです。

ストーリー ☆☆☆☆☆

序盤から終盤まで様々な事が起きて飽きさせないシナリオで最後はしっかりと大団円で終わってくれるという、ゲームをプレイしてて気持ちが良く完成度の高いストーリーでした。

まだすべての問題が解決していない状態での終わり方でしたので、今後のシリーズでどういった展開が待っているのか楽しみです。

音楽 ☆☆☆

BGMは場面の状況に合わせて複数用意されていてそれぞれ上手く使い分けられていると思いますが、それほど耳に残るほど印象の強い物は無いように感じました。

品質 ☆☆☆☆

戦闘時の演出だけでなく、3Dムービーやマップのグラフィックなど、携帯機から家庭用ゲーム機に開発環境が変わることで向上したスペックをフルに活かそうとしているのが感じられるほど、全体的に高いクオリティでまとまっていた様に思います。

総評 75/100点

モンハンライクの作品としては戦闘面は申し分無く、ストーリーのクオリティも高いので十分に遊びごたえのある作品です。

本家モンハンとはまた違った感じのモンハンライクを遊びたいと思う方であったり、和製RPGゲーム的なストーリー付きの作品が好きな方であれば恐らく購入して後悔するような事は無いと思われます。

次回作がどの様な作品になるのかは分かりませんが、本作の完成度を見るに次回作はもっと面白くなってくれるのではないかなと思いますので、期待して発売されるのを待っていたいですね。

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