GTAクローン? Saints Row 2 批評

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今回はオープンワールド系クライムアクションゲームのSaints Row 2の批評です。

日本語化について

SteamでPC版を購入した場合、このゲームはデフォルトで日本語に対応しておりませんので、日本語でプレイしたい場合は、海外の方が作成したMODを適用して日本語化する必要があります。

以下はその方法です。また、手順通りにすれば問題が起きることはないと思われますが、この作業は完全に自己責任で行って下さい。

1.まずこちらのURL(http://idolninja.com/sr2.php)にアクセスして、「Download Gentlemen of the Row v1.9.2」という部分をクリックし、MODファイルをダウンロードして下さい。

2.次にファイルを解凍し、日本語化ファイルを作成する為に、中にある「Create_Custom_GotR_v1.9.2」をダブルクリックして実行して下さい。

3.そうすると、以下の画像の様な画面が表示されます。

この画面でEnterキーを押すと次の画像の様な画面になります。

この画面で数値を入力してEnterを押すことで、日本語化以外の各MODの導入を行う事ができます。

日本語化のみをしたい場合には、「P」を入力してEnterを押して下さい。

すると処理が実行され、「BUILD COMPLETE!」の文字が表示されれば日本語化ファイルの作成は完了です。

4.後は「MY_CUSTOM_PATCH」フォルダの中に、3の処理で作成した日本語化の為のファイルが3つありますので、それをSaint Row 2のフォルダにドラッグ&ドロップして上書きして下さい。

これで日本語化作業は終了です。

概要

このゲームはRed Factionシリーズを開発したVolitionが制作したゲームであり、その内容から一部の方にはGTAクローン(パクリ)などと言われていたりするのですが、このゲームの大筋のストーリーは、昏睡状態から目覚めて刑務所から脱獄した主人公が、アメリカの架空の都市「スティルウォーター」を舞台に、かつて自らがボスを務めたストリートギャング団Saintを復興させ、街にいる他のギャング達と争いながら街の支配権を争うというもので、クライムアクションという名に恥じない感じが前面に押し出されている設定になっています。

Saints Row 2の特徴

現在のGTAシリーズの原型となった、現実世界を基にしたオープンワールド系のTPSゲームとしてのスタイルを確立したGTA3の発売日が2001年であるのに対し、初代Saints Rowの発売日はその5年後の2006年ですし、路上を走る車を強奪して使用する、歩行者を攻撃する、といった最近のクライムアクションゲームではお馴染みの要素はまさにGTAシリーズのそれとモロ被りしてはいますが、こちらでは体力の自動回復や、死んでも武器が失われないなど、当時のGTAが有していたシビアな要素が緩和されて、よりストレスの無いゲームになっているように思います。

アクティビティとリスペクト

このゲームでは本筋のメインミッションを開始するには、都市の人々の依頼を達成してリスペクトを得る必要があります。

この依頼はゲーム内ではアクティビティと呼ばれ、マップ上に青色のクエストマーカーで表示されており、その場に行くと多種多様なサブミッションを受けることが出来ます。

縄張りという概念

また、このゲームには縄張りの概念があり、初期状態では殆どの地域は他のギャングに支配されていて、街中には敵対勢力のギャングの構成員が巡回しているのですが、ミッションを達成して地域を支配することによって他のギャング達を追い出して、その地域から上納金を受け取ることが出来るようになります。

地域を支配するのはメリットだけがあるわけではなく、隣接した敵の勢力が地域を奪おうと攻撃を仕掛けてくることもあり、その際には防衛ミッションが発動するので、プレイヤーはその地域まで駆けつけて敵の幹部を排除しなければなりません。

徐々に自分の支配地域を拡大し、それを管理するというシステムは、Fall Out 4の居住地のように現在のオープンワールド系ゲームではさほど珍しい物では無くなってしまいましたが、当時の時代ではこういったシステムはとても珍しく画期的であったように思います。

悪いと思った点

リスペクトシステムのせいですぐにメインミッションが受けられない

アクティビティを達成してリスペクトを貯め、メインミッションを受けるというシステムは、すぐにメインクエストを進めたい人に取ってはやりたくもないサブミッションを強制的に行わされる為、あまり良い評価には繋がらない部分があるかと思います。

若干ギャグ寄りの内容になっているアクティビティも、最初の内は新鮮味があって面白いのですが、慣れてくると単純な作業感が増してしまい、更に同じアクティビティは何度も受けるとその難易度が徐々に増してくる為、達成するまでの時間が長くなってテンポが悪く感じる面もありました。

また、アクティビティの達成はダメージ軽減などのアビリティの解放条件にもなっているので、やりたくもないアクティビティをやらなければプレイヤーが強化されないという部分にも少し不満を感じました。

この辺りはもう少しプレイヤーの自由にさせても良かったのではないかなと思います。

3Dモデルとオブジェクトのバグ

私の環境が悪かったせいなのかはわかりませんが、ムービーシーンなどで明らかにキャラクターが持つ武器などが手からズレて表示されていて、キャラクターのモデルにめり込んでいたり、まるで超能力で物を浮かせているような描写になっているシーンが多々あり、これはムービーの出来が良いだけにちょっと勿体無い様に感じました。

妙に酔う

カメラがキャラクターに寄り過ぎていたり、走る際に微妙に視点が揺れる事が原因かと思われますが、プレイしていると3D酔いを感じることが多く、長時間プレイしていると気分が悪くなってしまうことがありました。

3Dゲームに慣れていない方は少し注意された方が良いゲームかと思われます。

時折起きるフリーズ

必要スペックは十分に満たしているはずなのですが、昔のゲームですので何かの相性が悪いのか突然フリーズじてゲームが強制終了してしまうことがあります。

一応このゲームには自動セーブ機能がある為、クリアしたミッションがやり直しになってしまうなどということは殆ど無いのですが、何時落ちても良いように頻繁にセーブを行っておく必要があると思います。

良いと思った点

戦闘がそれ程難しくない

この点は人によっては手応えが無いと感じる方もいるとは思いますが、私個人としてはミッションをサクサクと進めることが出来て好印象でした。

まず体力が自動回復ですので、敵に攻撃されてもそのダメージを回復する為にアイテムを求めてあちこち駆け回る必要が無く、敵も柔らかくて銃で数発撃つとすぐに倒れてくれる為、集団を相手にする場合でも慎重に動けばそこまで苦戦することはありませんでした。

敵を倒せば銃と弾を奪うことが出来ますので、敵と同じ種類の武器を使っていれば弾切れの心配も殆ど無く、マップ上に配置されている武器屋を使用しなくても、敵を倒した際に入手できる武器で十分ミッションを達成することが出来ます。

ミッションによっては武器が初めから用意されており、尚且つ弾が無限になっていたりする為、特定のミッションの為に手間をかけて装備を準備しなければいけないということも無く、難しいゲームの多い洋ゲーの中では比較的簡単な部類に入るゲームに感じました。

只、一部例外としてブラザーフットのミッションである「再開ツアー」など、敵が無限湧きかつ車で体当たりしてくるという理不尽さから難易度が妙に高くなっている物もありますが、これらもゲーム自体の難易度をEASYに変更すればそれ程苦労せずにクリアできますので、難しすぎて詰まるという事はないゲームかなと思います。

失敗してもすぐに再挑戦できる

Saints Row 2では、ミッション中に死亡したり、目標と達成できなかったなどの理由で失敗してもすぐにリトライすることが出来ます。

こういったミッションを受ける形式のゲームは物によってはリトライするまでに非常に面倒な手順を踏まなければいけない物もあるのですが、このゲームはその部分が非常に簡略化されており、ゲームオーバーになってもあまりストレスを感じることはないと思います。

シュールなサブミッション

ゲーム内では様々なサブミッションを受けることが出来るのですが、その内容は結構シュールで、例えば保険金詐欺のミッションでは自分から車に突っ込んで吹き飛ばされ、その滞空時間が長ければ長いほど高額なポイントが貰えるものであったり、別のテレビ撮影に協力するミッションでは、派手な映像が取りたいという理由で警察に変装して街中を暴れまわったりと、所謂バカゲー染みたものが多く、ギャングの抗争というストーリーの堅苦しさとはまた異なった、ギャグ風味のミッションを行うことが出来ます。

また、ミニゲームとしてゾンビから出来るだけ生き延びるおまけモードもあったりと、開発者の遊び心が豊富なゲームと言う印象を受けました。

中々良く動いて見どころのあるムービー

流石に昔のゲームですので2018年の今から見るとグラフィックはそれ程大したことはないのですが、それでもカメラワークやキャラクターモデルなどを活かしたムービーは、チープさや無機質さを感じさせないクオリティになっていると感じました。

ムービー中に登場するキャラクター達の掛け合いも魅力的です。

多彩な敵

このゲームで出てくる敵のギャングは、日本刀で武装しているヤクザのローニン、ブードゥー教の死神をモチーフにしたサンズ・オブ・サムディ、武器の密売を生業にしていて大型トラックを使用するブラザーフットなど、各勢力ごとに特色があります。

その個性は黄色、緑、赤などのユニフォームを纏った外見や、使用している車、ボス戦などで遺憾なく発揮されており、この様なユニークな敵達は、Saint Rowというゲームが持つ独特の世界観を構成している重要な要素だと言えるでしょう。

残念ながら通常の戦闘面ではこの個性を実感することはあまり出来ませんが、ムービーやボス戦、ミッション内容などは彼らの特色が反映された物になっており、各勢力のギャングを倒してのし上がるというこのゲームの目的を果たすまでの過程を変化に富んだより面白い物にしてくれています。

また、ローニンはヤクザなので日本語を話すのですが、声優は日本人では無いらしく、かなりのカタコトで喋りますので日本人プレイヤーからするとある意味必見です。オレノダー!!

豊富な武器

ハンドガン、アサルトライフル、サブマシンガンなどの定番の武器は勿論の事、ロケットランチャーや日本刀、スナイパーライフルやミニガンなども用意されており、自分の好きな武器でゲームを進めていくことが出来るのはとても魅力的に感じました。

元々敵が柔らかくどの武器でも難なく倒せてしまう為、変わり種以外の武器では種類ごとの性能の違いを感じれる要素があまり無いのが玉にキズではありますが、それでも多くの選択肢があるというのは武器が好きな方にとっては嬉しい要素だと思います。

まとめ

アクション ☆☆☆

TPSゲームのシューティングゲームとして一通りの事はできますし、敵を拘束して盾にしたり、多種多様な車両に乗って街中を走るなど、そこそこの自由度があるとは思いますが、戦闘面では敵が柔らかく、ボス戦以外では特に倒す際に工夫が必要なわけでもありませんので、ほぼ敵に何も考えず銃を撃つだけの単調な作業になりがちでした。

その為、本編を進めていく際にアクション性を感じ取れる要素が少なく、見た目の派手さとは逆に、ゲーム全体としてはとても簡素な作りになっているように感じます。

他のゲームではまず無いような変わったサブミッションを用意したり、時には車や水上ボート、ヘリなどを使うミッションを作ることでプレイヤーに様々な体験をさせようと努力している事はわかるのですが、一番行う頻度が高い銃撃戦がそれ程面白く無い為に、それらの魅力も落ちてしまっている様に思います。

ムービーでは爆発する船から海に飛び降りたり、敵の攻撃を前転で避けながらドアなどを盾にした銃撃戦を行ったりと、ハリウッド映画のような派手なアクションシーンを見せてくれるのですが、このあたりのアクションをもう少し実際のゲームプレイの方にも反映してほしかったですね。

ストーリー ☆☆☆

このゲームのストーリーは大抵の場合ミッションを受けた際に流れる短いムービーで表されるのですが、適当な性格で色んな人脈持ち主人公をサポートしてくれる女幹部や、ちょっとマヌケで弄られ役的な男幹部など、各キャラクターの特徴付けなどもしっかりと行われており、短いムービーの映像ながらそこそこのドラマを見せてくれます。

各敵対勢力事に個性的な敵キャラクターが用意されている事も、このゲームのストーリーのクオリティを高めている一因でしょう。

ですが、ギャングの物語という事で最終的には銃で解決する展開が多く、色々な敵対勢力が出てくる割にはその過程は始まりから終わりまでほぼ同じ様なストーリーになっており、結構ボリュームがある割にはさほど深い物語であるとは思えませんでした。

音楽 ☆☆☆☆☆

このゲームで流れてくる音楽は、その殆どが車に搭載されているラジオから聞こえてくる物なのですが、これらのBGMはSaint Row2オリジナルの曲ではなく、現実世界のヒット曲が多数収録されているのが特徴的です。

例えば現在までにYoutubeで8億回近く再生されているa-haの名曲「Take On Me」や、最近の日本のテレビ番組でもBGMとして使用される事がある、イントロが非常に印象的なEuropeの「The Final Countdown」など、日本人でもどこかで一度は耳にしたことがある名曲が、ポップ、ロック、ラップ、果てはクラシックなどの多様なジャンルから選ばれております。

この様にゲームのBGMに現実のヒット曲を採用するというのは、GTAシリーズでも行われていることではありますが、やはり車で街中を走っている時に自分が知っている曲が流れてくるのは結構テンションが上がり、ゲームをより面白くしてくれている重要な要素であると感じました。

品質 ☆☆

ゲームが進行不能になる類のバグは私がプレイした中では見られなかったのですが、ムービー中にキャラクターのモデルが持っている武器が宙に浮いていたり、車に乗り込む際などに稀にフリーズしてゲームが強制終了するなど、ゲームの魅力を損ねてしまうようなバグが目立ちました。

また、街中を歩行していたり車で走っている一般NPCが突拍子もない行動を取って事故を起こしたり、銃撃戦が真横で起きているのに逃げるでもなく何事も無いかのように振る舞ったりなどの不自然な行動をしたり、仲間として連れて行ったNPCでも敵が眼の前にしても攻撃しない、一定の範囲から動かなくなりプレイヤーキャラに追従しなくなる、などのバグがあり、システム面では結構作り込み不足を感じる部分が多かったです。

総評点数 65/100点

オープンワールド系であり、尚且自分の縄張りを拡大していくギャングとして行動できるという点は非常に魅力的なのですが、実際のゲームプレイはその目的とは裏腹に非常に単調な戦闘を繰り返す物になってしまっており、後半のミッションになっても最初の時とやることがあまり変わらなかったりと、少し残念な部分があります。

ムービー、音楽、キャラクターデザイン、ユニークなサブミッション、車の種類や衣装を購入できる点などは非常にクオリティが高いのですが、これらの要素はゲームの本筋にはあまり関係が無い為、単純にメインミッションをクリアして行くというプレイをすると、内容の変化に乏しいゲームであるという印象を受けてしまいました。

Saint Rowというシリーズはこの2作目まではGTAクローン(パクリ)などと揶揄されていた過去があるのですが、今回実際にSaint Rowの2作目である本作プレイした感想としましては、残念ながら揶揄されていた通りのGTAクローンと言った感じが拭えませんでした。

所々良い点はあるのですが、GTAで既に体験してしまっている事と被る点がありますので、もう少しこのゲーム特有の面白さというものを追求した作りにしてもらいたかったです。

本作の反省からなのか、3作目のSaints Row: The Thirdからは独自の路線を追求するようになったらしいので、もしそちらプレイする機会があれば本作との違いを楽しみながらプレイしてみたいと思います。

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