【ゲーム批評】エジプトのピラミッドで戦うFPSゲーム Immortal Redneck 批評

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今回は一風変わったFPSゲームImmortal Redneckの批評です。

内容はネタバレを含みますのでご注意下さい。

概要

本作「Immortal Redneck」はエジプトを舞台にしたFPSゲームです。

ストーリーの大まかな流れは、主人公のレッドネック(アメリカで田舎者という意味)が休暇のエジプト旅行中に運悪く崖から車で落下し、そのまま砂に埋もれて死亡してしまうのですが、気付けば謎の怪物達にミイラにされ、そのまま何故か古代エジプトにタイムスリップしてしまい、それらの行為に激怒したレッドネックは、復讐のために怪物達の住処となっているピラミッドに突入し、その最上階に居るボスを倒しに行く、という少し無理矢理感の否めない感じの物になっております。

Steamのストアページにある作品紹介欄にはこの様な強引なストーリー展開の理由について、「その答えはギザにある」「自分の手で真相を確かめろ!」などと書かれていますが、私が見落としているだけなのかもしれませんが、ゲームを最後までプレイしてもその答えらしきものはありませんでした(´・ω・`)。

ですが、恐らく本作はゲームプレイの方に重きを置いて製作されており、この強引なストーリーはピラミッドをゲームの舞台にしたかったが故のおまけ程度の物でしかないと思われる為、ストーリーの整合性などはあまり気にする必要は無いと思います。

因みにギザというのはエジプトの都市の事で、世界遺産に登録されている事で有名な3大ピラミッドがある場所です。

本作にも3つのピラミッドがダンジョンとして登場するのですが、その発想はこの3大ピラミッドから得た物だと思われます。

特徴

本作の特徴は従来のシリアスサム的なスピーディなアクション性のFPSに、ステータスなどの成長要素と、ランダムに出現するアイテムなどによってプレイする度にゲーム体験が大きく変化するローグライク要素が混ぜ合わされている点です。

ダンジョンと化したピラミッド

プレイヤーは基本的に3種類の武器を使って敵を倒しながらピラミッドの各階層を探索し、上の階に行く階段を見つけて、最上階に居るピラミッドの主であるボスを倒すことを目的としてゲームを進めていきます。(ゲームクリア後には最上階が存在しないエンドレスモードが解放されます)

ピラミッドの内部は各階層ごとにいくつかの部屋が存在し、基本的にまだ探索していない部屋に入ると敵が出現するか、或いは特定の位置に宝箱が出現します。

軽快な操作性と固有スキル

FPSゲームとしての操作性は敵の攻撃を避けながら相手を撃つという昔ながらのとっつきやすいスタイルで、スタミナや落下ダメージなどの概念も無く、一部の状態を除いて最初から2段ジャンプも可能ですので、特に難しい事を考える必要は無く高い操作性を活かして敵との戦闘を楽しむことが出来ます。

また、右クリックで固有スキルを使うことも可能で、例えば初期キャラのRed Neckではスキルを発動すると一定時間武器の連射速度を上げる事が出来ます。

お金や巻物を使ってキャラクターを徐々に強くできる

敵を倒すと時折、お金、弾薬、肉(体力回復)、武器、巻物の内のどれかを落とし、宝箱からは確定で上記の内のどれかのアイテムが出てきます。

巻物はローグライクゲームとして有名な「Risk of Rain」や「The Binding of Isaac」で言う所のステータス変動アイテムであり、入手すると攻撃力上昇、ジャンプ追加、一定確率で敵を鶏にして即死させるなどの強力なバフ効果が発生しますが、逆に武器が一つしか持てなくなる、マガジン内の弾を撃ち尽くすまでリロード出来なくなる、体力バーと弾数などが見えなくなる、と言ったデバフ効果も発生する様になっています。

本作のローグライク要素の大部分はこの巻物によるランダム性によるものであり、その良くも悪くも強力な効果によって、プレイする度に内容が大きく変動する様になっています。

その一方で武器に関しては全体的に控えめな性能であったり、弾数が少なかったりと火力に制限のある物が多く、物凄い性能の武器を運良く手に入れて無双する、という様なローグライク的な楽しみはあまり期待でき無い様なバランスになっております。

そしてお金はピラミッドの内部に居る際には役に立ちませんが、ピラミッドの外でスキルツリーにアクセスしてこれを使う事で、キャラクターの攻撃力・防御力、攻撃がクリティカルヒットする確率などを強化する事が可能となっております。

また、お金を使って「エジプトの神々の憑依」をアンロックすれば、プレイヤーの固有スキルや初期武器などを変更する事も可能です。

これはキャラクター変更の様なものですので、一度ゲームをクリアしても他のキャラでまた再度挑戦する事が出来るなど、リプレイ性の向上にも繋がっています。

悪いと思った点

巻物のデバフが強力過ぎる

拾うとバフによって様々な恩恵をもたらしてくれる巻物ですが、反対にデバフの効果もかなり強力であり、特に通常時でさえ少ない弾薬が更に減ってしまう効果や、マガジン内の弾薬を全て撃ち切らなければリロードが出来なくなる効果など、その後のゲームクリアが非常に困難なものになってしまうデバフには少し理不尽さを感じました。

本作の巻物は拾うまで効果が分からず、基本的に効果が分かった時点ではもう拾うしか選択肢が無い為、Risk of Rainなどの他のローグライク作品の様にアイテムの形などを見て、不利になりそうなものであればスルーしたり、後から捨てるといった様な取捨選択することは出来ず、全てを運に任せるしかありません。

運の要素に左右されるのはローグライクの醍醐味ではあるものの、自分が不利になる要素への対策を満足に行うことが出来ずに大きくマイナス効果を受けてしまうこの仕様はゲームプレイに与える負の影響が大きすぎる様に感じました。

また、致命的なデバフ効果がある一方で、バフ効果が全体的に控えめな物が多い点にも物足りなさを感じます。

例えば弾数を無限にするバフ効果があるのですが、その効果が一部屋のみで切れる様になっている為に恩恵が限定的だったりと、意図的に強すぎる効果を作らないようにしていると思われる為、巻物の効果によってピンチが一気にチャンスに変わってくれるという様な事は殆ど起こりません。

そんな巻物のバフ効果の中で比較的恩恵が大きいのは、壁越しに敵のシルエットを見ることが出来る様になるウォールハック効果と、攻撃がヒットした際に一定の確率で敵がニワトリになって即死する様になる効果の2つですが、これ以外のバフ効果はステータス上昇や常にダッシュ移動するなどの効果自体が微妙な物が出る確率が高く、種類の多いデバフに比べてバフは同じ様な地味な効果の物しか発生しない事も多々あり、巻物を拾う楽しみがあまり感じられずプレイ後半は出現しても殆どスルーしていました。

一応強力なデバフ効果に対する救済策として、デバフ効果のある巻物を消滅させる巻物もあるのですが、これ自体も巻物の効果である以上は狙って出す事は出来ず、寧ろこれを狙ったが為に更にデバフ効果の巻物を拾ってしまい、状況が悪化する事もありました。

個人的にはEnter the Gungeonの様に、ダンジョン内であるピラミッドの内部にお金を支払うことで巻物の効果をリセットしたりする事が出来るショップを設置して、ピラミッドの中では役に立たないお金の使い道を用意すると共に、プレイヤーの行動の選択肢を増やす様にしてくれれば、ある程度は理不尽な展開になる事を抑制できたのではないかなと思います。

弾切れした時の救済手段がほぼ無い

ローグライク要素のあるゲームでは体力回復アイテムやお金などの物資が潤沢に手に入らない作品が多いですが、本作もその例外ではなく弾薬の残数には常に気を配っておく必要があります。

本作の弾薬は敵や宝箱から入手することが可能なのですが、一度に持ち歩ける弾数がそこまで多く無い為、少しでも敵の排除に手こずったり弾薬を拾えないとすぐに弾切れ寸前になってしまいます。

そして運悪く自分が所持している全ての武器の弾を使い果たしてしまった場合には、最後の手段として持っている武器を敵に投げつけて戦う事が可能なのですが、この武器投げで与えられるダメージが非常に低く設定されている為に、ザコ敵にすら何度も何度も武器を拾っては投げを繰り返さなければいけません。

その為、只でさえ体力の多いボス相手にこの状態になった場合はほぼ詰みとなります。

敵が弾を落としてくれるまではこの武器投げのみで戦わなければいけないのですが、FPSゲームなのに銃を全く撃てない状況になるこの部分が個人的にはかなり苦痛で、できれば武器投げ以外の他の弾切れの際の救済手段を用意して欲しかったです。

例えば「Enter of Gungeon」ではダメージや発射レートが低い代わりに弾薬が無限の初期武器を1つ所持する事が出来ますので、他の銃の弾が切れてもそれを使うことで対応が出来ていましたので、本作にもそういった無限に撃てる武器を1つ初期武器として持たせて欲しかったですね。

或いは一部の神の憑依ではエナジーグローブの様な弾数無限の武器を初期武器として持つことが出来ますので、それらと同じ様に全ての神の憑依で弾数無限の武器を初期武器として1つ持たせて欲しかったです。

敵が何もない所から突如出現する

本作ではプレイヤーが部屋に入った際に一定数の敵が自動で出現するのですが、その出現方法が何も無い場所から一瞬で現れるという方法なので、部屋に入ってから数秒間は周囲を警戒する必要があります。

下の画像は敵が地面から現れる場面を映したものです。

本作の敵キャラは至近距離で最大火力を発揮する者が多い為、敵の位置には十分注意しておく必要があるのですがこの様に急に敵が現れる事があるので、どれだけ気を付けていても運が悪いと視界外で出現した敵から手痛いダメージを受けてしまう事があります。

特に空中から徐々にプレイヤーに接近して来て、至近距離で自爆して周囲に弾を撒き散らす棘付きボールの様な敵が居るのですが、この敵が急に目の前に出現し、その破裂によって一瞬で体力MAXから即死した時にはかなりの理不尽を感じました。

出来れば部屋の中の敵は小出しにするのではなく一度に全て出現するか、或いは出現する際に大きな音が出るなど、プレイヤーが対応しやすい様にして欲しかったですね。

作業感

本作の敵の体力と攻撃力はステージの後半になるにつれて増加していき、ラスト付近では体力は素の状態の2倍、攻撃力は2.5倍近くにもなります。

ですのでプレイヤーの初期ステータスでは途中から到底太刀打ち出来なくなる為に実質クリア不能となっており、クリアする為にはお金を集めて徐々にプレイヤーを強化していく必要があります。

ですが、この強化に必要なお金がかなり多いので少し強化するだけでも相当な時間を掛ける必要があり、これには作業感を覚えました。

また、ピラミッド内部にはプレイヤーのスキルを強化する事は出来ない為、攻略の途中で敵の硬さや火力の大きさに不安を感じたとしてもそれらをプレイヤーがピラミッド内部でレベリングを行う事で改善することが出来ません。

プレイヤーを強化する為には一旦死んでピラミッドから出なければならず、強化後はまたピラミッドの一番最初からやり直しになるので、ゲームの攻略があまり進んでいる様に感じずこの仕様が作業感を更に感じる要因となっていた様に思います。

良いと思った点

緊張感のある戦闘

本作は武器や巻物などのアイテムの性能が控えめですので、どんなアイテムを拾っても戦闘が一気に有利になってヌルゲー化してしまうという様な事はありません。

敵の攻撃の弾速は割と速く、即着から散弾など割とバリエーション豊富な攻撃を行ってくる為にしっかりと移動して避けなければ当たってしまいますし、銃の弾を外し過ぎてしまうと弾切れに陥ってしまうので無駄玉も使えず、回復手段も限られていたりと、カジュアルな見た目に反してFPSゲームとしては結構な難易度となっております。

FPS初心者の方にとってはこれは少し嫌な要素かもしれませんが、FPSに慣れた身からすると序盤から終盤まで緊張感を保ってプレイできるゲームでしたし、クリアした時の達成感も結構大きい物がありました。

神々の力

前述した通り、本作ではお金を支払うことでエジプトの神々の力を借りる事が可能で、これは本作のキャラクター選択の様な役割を果たしており選択した神によって異なる初期武器や固有スキルを使用することが出来る様になります。

個人的には初期武器に攻撃力の高い3点バースト銃やスナイパーライフルを持ち、壁を貫通し敵にホーミングする鷹を飛ばして攻撃することの出来るネイト神がオススメで、私は初期キャラのレッドネックで苦戦して居たのですがこれらの神々の力を使う事で状況を打開する事が出来たりしました。

 

Risk of Rainでも多数のキャラクターを使うことが可能でしたが、やはり多くのキャラクターが存在するとそれだけゲームのリプレイ制なども上がりますので、この点は本作の大きな魅力だと思います。

まとめ

ストーリー ☆☆

商品紹介にある不可解なストーリーの真相がゲームをクリアしてエンディングを見ても良く分からないものである点や、そもそもの背景設定などについて十分な説明も行われない為に、ストーリー性という面では非常に薄い作品である様に思いました。

アクション ☆☆☆☆

2段ジャンプや速い移動速度など、テンポの良い操作性で敵の弾を躱しながらの戦闘は爽快感とスリルがあり、ステージ全体の難易度も程よく高くクリアした時には十分な達成感を得ることが出来ました。

武器の性能が少し微妙だったり、非常に狭い部屋で大量の敵と戦わされてほぼ必ずダメージを受けてしまうなど、少し残念だったり理不尽な部分はあるものの、全体的に見ればとても完成度の高いFPSゲームであると思います。

音楽 ☆☆☆

悪いというわけでは無いのですが、特段良いとも思えないクオリティだった様に思います。

個人的には少しBGMの主張が強く感じ、長時間プレイするという本作の特性上、ずっと聞いているとうるさく感じてしまう事もありました。

銃の効果音などは特に違和感のあるものはありませんでしたが、強いて言うなら全体的に若干地味な感じの音なので、これは人によっては好みが大きく分かれる点では無いかなと思います。

品質 ☆☆☆☆

特にバグらしいバグも無く、問題なく最初から最後までプレイできました。

ただ敵が急に出現したり、敵が砂になって消える死亡演出のせいで背の低い敵はその砂の中に埋まってプレイヤーからの視認性が低下してしまう事があったりと、ゲームの仕様の部分ではもう少し改善して欲しい所もありました。

総評 65/100点

難易度のシビアさや、ローグライクにしては地味な武器やパワーアップ、長時間プレイしてレベリングをしなければ実質クリアできない様になっている点など、他のFPSやローグライクゲームの様なゲーム性を期待しているとちょっとそれを裏切られる様な部分はありますが、操作性の良さやエイムや立ち回りが重視させる部分などは完成度が高い為、ハマる人はハマる魅力的な作品になっている様に思います。

通常価格では1980円の低価格帯の商品にしては十分以上に遊ぶことが出来る作品ですので、ローグライク要素のあるFPSゲームに興味のある方や、難易度の高いFPSゲームを遊びたいと思っている方はセール時などに購入してみては如何でしょうか。

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