【ゲーム批評】ポップな見た目とシビアな難易度 Enter the Gungeon

2016年の4月に発売され、そのクオリティの高いドット絵と、ポップな見た目とは裏腹にシビアな難易度で話題になったEnter the Gungeonですが、発売日から3年後の2019年の4月5日に最終アップデートである「A Farewell to Arms」が配信されました。

今回はそんな遂に完成版とも言える状態になった本作の批評をしてみたいと思います。

過去を変えるために戦うシューティング+ローグライクゲーム

Enter the Gungeonは見下ろし型の2Dシューティング+ローグライクゲームです。

Gungeon(Gun:銃とDungeon:ダンジョンを組み合わせた造語)という名前の通り、このダンジョン内で出てくるアイテムや敵などはその殆どが何らかの銃やそれに関係する作品などがモチーフに作られており、中にはロックマンやランボーなどの他の有名作品のパロディと思える銃や敵も登場します。

主人公の目的は、このダンジョンの奥にある「過去を始末できる銃」を使い、己の過去の過ちなどを清算する事です。

プレイヤーの力量が全て

本作は一応ローグライク要素のあるゲームですが、その本質はどちらかと言うと弾幕シューティング寄りで、プレイヤーがどれだけ正確な回避行動と射撃を行えるかでゲームをクリアできるか否かが左右されるようになっています。

また、PVだけを見ると、まるで様々な強力な武器を好きなだけ撃ちまくって、大量に迫りくる敵と戦うゲームのような印象を受ける方も中にはいるかと思いますが、実際には銃の弾薬は有限かつその最大所持弾数も決して多くはない為、状況を考えずに銃を撃ちまくっているとすぐに弾切れになってしまうので、武器に頼った力押しは寧ろやり辛い部類に入ります。

本作のシビアさはこの限られた物資のやり繰りが必要な部分にもあり、これは他の爽快感を追求したようなシューティングゲームとは一線を画する部分でもあります。

悪いと思った点

説明不足な仕様

このゲームには多くの隠し要素が存在しておりますが、その隠し要素が流石に隠され過ぎているように思えました。

例えば隠しステータスの一つである「クール度」ですと、このステータスは特定のアイテムを使用した際などに上昇し、この数値が高ければ高いほどアイテムのドロップ率が上がったり、アクティブアイテムのクールダウン速度が速くなったりするなど、プレイヤーに有利な効果が発生する結構重要なステータスなのですが、ゲーム内ではこのクール度についての説明がほぼ皆無で、Wikiなどを見ないプレイヤーからするとその存在自体に気付けない可能性があります。

本作には使用する事でダメージを受ける代わりに、クール度を1増加させるタバコというアイテムがありますが、恐らくクール度を知らない方にとっては体力が減るだけで何も起きない外れアイテムのように見えてしまうでしょう。

他にも隠しキャラクターを出す為の条件や、自分の過去に辿り着くために必要なアイテムの取得方法が隠されている上にやや複雑であったりと、淡々とゲームをプレイしているだけのプレイヤーでは気付けないような要素が幾つかあり、これは十分にゲームの魅力を体験することを阻害している部分があるように感じました。

実際に、このゲームは自分の過去にタイムスリップした際に出てくるボスを倒さなければ真の目的を達成したとは言えないのですが、本作のレビューの中にはそれを知らないのか、過去を始末する前に出てくるドラゴンのボスを倒した時点でゲームをクリアしたと思っているであろう方が何人かおられました。

開発側が意図的にミスリードを誘っている可能性もありますが、本作の仕様は昔の隠し要素があるレトロゲームの悪い部分のような印象を受けてしまいました。

アイテムの当たり外れの激しさ

本作には非常に多くのアイテムが存在していますが、個々の性能の差が結構激しく、使える物と使えない物の差がはっきりと出てしまっているように感じます。

ローグライクゲームにはアイテムの当たり外れに関する問題は付き物ですが、このゲームでは難易度調整の仕様によって、更にその弱さに拍車が掛かっています。

このゲームではプレイヤーが階層を進むごとに敵の体力が増えてどんどん硬くなっていく上に、その攻撃の苛烈さも増していく仕様になっていますので、元から大した火力のない外れアイテムは後半の階層ですとザコ敵の処理にすらまともに使えなくなっていきます。

その一方、当たりアイテムの場合は元から異常なぐらい火力や持てる弾薬数が優れていますので、序盤の階層は勿論のこと終盤の階層でも十分にその真価を発揮してくれます。

本作のアイテムの種類は確かに大量にあり、それ自体はこのゲームの魅力の一つなのですが、その実体は上記のような外れアイテムが少なからず含まれているので、多種多様なアイテムを使ったプレイはというのは少しやり辛い印象を受けました。

良いと思った部分

熱中できる高い中毒性

ローグライク要素のあるゲームは、何度も何度もプレイしてしまう高い中毒性があるのが特徴ですが、本作もその例に漏れず、プレイヤーが何度も遊びたくなるような魅力を持っています。

兎に角アイテムの数が多い為、プレイする度にその組み合わせによって様々な体験をすることが出来ますので、何度プレイしても飽きることがありません。

このローグライクゲームとしてのクオリティの高さには、1480円という低価格の作品とは思えない程の遊び応えとボリューム感を感じました。

成長を実感できる難易度設定

Enter the Gungeonは、一般的なゲームと比べればやや難しい部類の作品に入ります。

被弾によるミスが許される回数も初期状態ではそれほど多くはなく、階層が深くなるにつれて敵は硬く、強くなっていきますので、シューティングゲームに不慣れな方は一瞬でゲームオーバーになってしまうと思われます。

ですが、敵の攻撃を一瞬だけすり抜けられる緊急回避手段のドッジロールや、敵の弾幕を消滅させるブリンク、様々な銃やアイテム、各ボスや敵の行動パターンなど、使いこなしたり覚えたりする事でプレイヤーが成長できる要素が数多く用意されていますので、プレイヤーはゲームを進めてトライ&エラーを積み重ねていく内に自然と上達することが出来るようになっています。

ローグライクゲームには、良いアイテムさえ取ることが出来れば割と簡単にクリア出来てしまう作品もありますが、本作ではあくまでもプレイヤーのスキルに重きを置いた難易度になっている為、プレイヤースキルを活かせるシューティングゲームとして面白さを、ローグライクによるランダム性が損ねるような事が殆ど無く、寧ろこの2つの要素がうまい具合に融合した絶妙なバランスになっていると思います。

弾を避ける快感

弾幕シューティング寄りのゲームと書いたように、このゲームでは敵が大量の弾幕を張ってプレイヤーに襲いかかってくるのですが、その弾幕をいかに上手く躱すかもこのゲームの醍醐味の一つです。

本作はローグライク要素によって、マップの地形と出てくる敵の種類がある程度変化する為、これによって毎回変化する敵の弾幕を躱す楽しさをプレイヤーに提供してくれています。

敵と地形の組み合わせによっては、結構理不尽を感じてしまう場面もありますが、そういった場合でも何とかギリギリ避ける方法を素早く考えて行動し、結果的に無傷で切り抜けられた時の達成感や快感は他のゲームでは中々味わえない物がありました。

クオリティの高い独特な味のあるドット絵

本作のグラフィックは2Dのドット絵で表現されておりますが、そのレトロな雰囲気のあるポップさと、様々な敵やアイテムの数々に加え、マップのデザインなども非常に凝った作りになっていて、そのクオリティの高さには驚かされます。

また、こういったグラフィックに力を入れているゲームの中には、敵の攻撃などが背景や敵のモデルなどに溶け込んでよく見えなくなってしまっている作品もありますが、本作では敵の攻撃はしっかりと目立つ色で表現されているので、シューティングゲームの要素が損なわれていない点も良かったです。

まとめ

アクション ☆☆☆☆☆

極端に言えばこのゲームは敵の弾幕を回避しながら射撃を行うという動作を何度も繰り返すだけの単純な内容なのですが、プレイする度に登場するアイテムや敵、マップの地形などのランダム性と、自分の成長が実感できる程度の丁度良いバランスの難易度によって、単純ながらも非常に奥の深いゲームになっていると思います。

ストーリー ☆☆☆

リプレイ性を保つためのシンプルさを追求したのか、自分の過去を変えるというそれなりに壮大な目的の割にはそれほど劇的な展開があるわけでも無く、物語自体は淡々と進んでいきます。

アイテムの説明欄やNPCとの会話からEnter the Gungeonの世界観を垣間見る事が出来ますので、設定好きな方でも満足できる部分があるのではないかなと思います。

音楽 ☆☆☆

名曲があるとは思いませんでしたが、リプレイ性の高いこのゲームにおいて、何十時間と聞き続けていても耳障りにはならず、それなりに印象に残るBGMでした。

品質 ☆☆☆☆☆

目立ったバグも無く、隠し要素や爆発のエフェクト、射撃の際の振動や効果音などは非常に作り込まれており、プレイ時の臨場感を高めてくれていました。

総評点数 80/100点

シューティングゲーム特有のプレイヤーの実力がゲーム内の成績に明確に反映される部分はそのままに、ローグライクのランダム性と上手く融合出来ているのが素晴らしい作品でした。

最終アップデートが行われた事により、発売当初のようなプレイヤーにはどうにも出来ないような理不尽な点が緩和され、万人向けとまでは行きませんが、それなりに多くの方がプレイしていて楽しいと思えるバランスになってくれたと思います。

実は2Dの見下ろし型シューティングゲーム+ローグライクというジャンルには、底が浅かったり、何らかのゲーム性の問題を抱えていたりと、質が良いと思える作品があまり多く無いのですが、本作はNuclear Throneや
The Binding of Isaacに並ぶ数少ない成功例として、今後出てくる同ジャンルのゲームと比較されていく事になるかと思われます。

難易度の部分で少し人を選びますが、手応えのあるゲームをプレイしたいと思う方は是非遊んでみてください。

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