【ゲーム批評】独特な世界観のオープンワールド系アクションゲーム「BIOMUTANT」

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今回はSteamなどで販売されている「BIOMUTANT」をクリアしましたので、その感想を書いていきたいと思います。

内容は本作のネタバレを含んでいますので、未プレイや未クリアの方はご注意下さい。

概要

近未来+ファンタジー+動物

この作品は過去の無節操な発展による悪影響で汚染された世界を舞台に、人間と動物を組み合わせた様な姿のミュータントとなって、この世界の礎となっている生命の樹を侵食するワールドイーターと呼ばれる怪物を討伐し、汚染された世界で生き残っている各部族間の争いなどを解決していくゲームです。

本作の世界には武器となる近未来的な機械や、炎や毒を操る「サイ」と言う名の超能力が存在し、主人公はそれらを駆使して各部族や汚染の影響によって生み出された怪物達などと戦っていきます。

基本的な戦闘システムは敵の攻撃を回避やパリィで対処しながら、敵の行動の隙にこちらの射撃やスタイリッシュなコンボ攻撃などを叩き込んでいくという、デビルメイクライやベヨネッタの戦闘システムを彷彿とさせるタイプの物で、それらの作品をプレイした方であれば操作にはすぐに慣れると思われます。

また、本作にはレベルの概念が存在し、一定量の経験値を得てレベルが上がるごとに各ステータスに割り振れるポイントと、新しいスキル技を開放する為のスキルポイントが獲得できます。

スキル技は特定のコマンドを入力する事で発動し、当たった際には敵をダウンさせたり怯ませる事で少しの間動きを止めれる為、上手く使えば敵に何もさせずに倒すことも出来て非常に便利です。

善と悪

本作ではゲームを進めていくと時折選択肢が現れ、その行動次第で主人公の性質が善か悪のどちらかに傾いていきます。

主人公の選択はストーリーやサブクエストなどの流れに影響を与えると共に、時にはスキルポイントが入手できる事もあります。

また一定の善、或いは悪のポイントがなければ習得できないスキルなども存在します。

探索や買い物でアイテムを入手、クラフトで武器や防具をパワーアップ

本作では買い物をしたりマップを探索する事で、武器や防具、回復アイテムやクラフトで使用できる素材などを手に入れる事ができます。

アイテムの中にはサブクエストを達成したり、ちょっとしたパズルを解かなければ入手できない物もあります。

集めた素材はクラフトによる武器や防具の制作、または既存の武器や防具の一部を付け替える際に使用されます。

悪いと思った部分

バグや不具合の修正が不十分

本作のプレイ中にはバグや不具合の様な挙動が何度か見られました。

例えば、本作ではクエストによってはNPCと共に行動する時があるのですが、その際に主人公が過去の記憶を辿るクエストを受けると、主人公の過去シーンに何故か同行中のNPCも出てきてしまう場面がありました。

これはゲームの進行に影響を与える程深刻なバグではありませんが、この状況がおかしい事は一目瞭然なので、こうしたバグが修正されていない事から他のバグや不具合もまだ多く残っているのではないかなと思われます。

実際、本作では戦闘中に突然敵が背を向けてあらぬ方向に歩き出して体力が全回復したり、装備中の銃に改造を施すと別の銃に一旦持ち替えなければ弾が出なくなったり、何故か乗り物が呼び出せなくなるなど、不可解な挙動が幾つか見られました。

自分が遭遇した物はどれも前述の過去に現代のNPCが入り込むバグと同じくゲームの進行には殆ど影響を与えませんが、気にはなる点ではあるのでもう少しバグ取りをちゃんとして欲しかったですね。

移動が面倒

オープンワールドは広大なマップを旅するのが醍醐味の一つですが、それに費やさなければならない時間が多いと流石に辟易としてしまいます。

その為、多くのオープンワールドを採用している作品では少しでもマップの移動が楽になるように、ファストトラベルの様なテレポート機能や、移動速度の早い乗り物、高い崖や壁を超える為にある程度はよじ登れたり、グラップリングフックの様なアイテムが使える場合もあります。

本作もその例に漏れずファストトラベルや移動速度の早い乗り物は出現するのですが、これらの使い勝手が少し悪い為、移動が面倒に感じる事がありました。

まずファストトラベルは、FalloutシリーズやSkyrimの様に発見した街やダンジョン全てには移動出来ず、一部のポイントのみでしか使えない上に、使用する為には一度ファストトラベル地点である標識に触れてマーキングをしなければいけません。

次に乗り物ですが、こちらは流石に徒歩よりは早いものの、速度自体は大したことがなく、長距離の移動では結構な時間が掛かってしまいます。

また、本作は素手やワイヤーで垂直の崖を登ったり、長時間水中を泳ぐ事は出来ない為、進行ルートに崖がある場合は大きく迂回、大きな川がある場合は水上用の乗り物に乗り換えをする手間がそれぞれ発生します。

更にこちらは後述しますが耐久力の高い敵との戦闘も頻発する為、本作のマップ移動は他のオープンワールド作品よりも面倒な印象を受けました。

億劫かつ単調になりやすい戦闘

敵との戦闘で使えるコンボ攻撃は一見派手ですが、敵を素早く倒すには特定の行動の繰り返しになってしまうので、戦闘を何度もこなすと単調に感じられてしまいました。

敵は体力が結構多く設定されており、かなり強化した武器であっても複数体の敵が出てきた場合は複数人をまとめて攻撃する手段も乏しい為に敵を一体ずつ地道に削っていかなければならず、倒すのに時間が掛かる事から戦闘が億劫に感じられる時もありました。

また、本作の敵には近接武器による通常攻撃ではあまり怯まないか、或いはコンボ攻撃でなければ一切怯まない様な所謂スーパーアーマー持ちが多く存在しており、尚且つ敵の攻撃で受けるダメージもかなり痛い為、近接武器のみで戦闘を行うのは難易度もリスクもかなり高くなっています。

その一方で、サブ武器の銃を用いてひたすら引き撃ちをすると、近接武器よりもダメージ効率や敵の攻撃に当たるリスクが圧倒的に低くなり、簡単に敵を倒す事ができます。

銃が非常に強く調整されているのは初心者救済の為かもしれませんが、それによって近接武器の価値が低くなっており、敵の攻撃を避けてパリィで弾いてカウンターを取るなどの近接武器での戦闘ならではの駆け引き要素が十分に体験出来なかった事も、本作の戦闘が単調に感じられた一因でした。

現状の戦闘はコンボでごり押しするか、銃で引き撃ちするかの2パターンしか無いように思いますので、もっとパリィや回避が重要になり、尚且つそれらが成功した際には大きなリターンがある様など、幅広い戦闘を楽しめる様な要素がもっと欲しかったですね。

クエストの展開が使い回し

本作は前述のワールドイーターや各部族の争いなどに関するクエストを達成しながらゲームを進めていくのですが、このクエストの話の展開が使い回されている点が気になりました。

例えば世界各地に4体存在するワールドイーターの討伐クエストは4つ全てが、まず各ワールドイーターとの戦闘の前に各地の技術者と出会う→ワールドイーターと戦う乗り物を得る為の部品や素材を取ってくる→ワールドイーターと戦闘、という流れになっています。

これらのクエストでは各キャラクターの会話の内容や、出てくる敵の種類すらもボスであるワールドイーター以外はどれも大して変わらないので、中盤からはかなり既視感を感じながらゲームをプレイしていました。

これは各部族の争いに関するクエストでも同様で、終盤は殆ど作業ゲーの様な感じになってしまっていた為、できればもっと各クエストの特徴がはっきりと分かる様な違いが欲しかったですね。

没入感が削がれる通訳会話

本作の会話はナレーターによる通訳を介する形で行われます。

本作のキャラクターは人間の言葉が喋れず、会話の際にはどうぶつの森やバンジョーとカズーイの大冒険に出てくるキャラクターの様な鳴き声のみを発し、それをナレーターが人間にも分かる言葉にして主人公に伝えてくれます。

上記の作品の様に、独特な世界観を維持する為に敢えてこの様な表現方法を取る作品は珍しくありませんが、本作ではそれが逆に作品への没入感を削いでしまっている様に感じられました。

まず通訳を介して会話が行われるので、相手が怒っていたり悲しんでいる場合でも、その感情が直接的に表現されることが無く、全てが淡々としたナレーターによる説明になってしまい、ストーリーの盛り上がりなどがプレイヤーに上手く伝わらない印象を受けました。

また、通訳によって伝えられる会話の内容も哲学的な言い回しが含まれ、更になんの説明も無くゲーム内の固有名詞が出てきたり、日本語への翻訳も直訳的である為、相手が何を言いたいのかが分かり辛く思える場合も多々あり、細かなストーリーの詳細が不明瞭なままゲームを進める場面も珍しくありませんでした。

ナレーターの通訳ではなく、他のオープンワールド系の作品と同じ様に普通に人間の言葉で会話をしてくれた方が良かった様に思いますね。

良いと思った部分

クラフトによる武器や防具の成長要素

本作のクラフトによる武器や防具の改造や作成は、お気に入りの装備を作りゲームを有利に進められるだけでなく、様々なレア素材を見つけるやり込み要素の側面もあり、とても良いシステムであると思いました。

本作のクラフトはUIが複雑ではなく、簡単に装備の作成や改造が出来てとっつきやすい点も良かったです。

各地域ごとに特徴のあるマップ

本作のマップは各地域ごとに特色があり、ダンジョン代わりに作られている洞窟や旧世界の施設などは、パターンはそれほど多くは無いもののちゃんと探検をしている感覚を味わうことが可能で、マップのクオリティが重要なオープンワールド系のゲームとして十分に楽しめる物でした。

また、各地域には猛毒や高温などの影響で通常の装備では長時間生存が出来ないエリアなどもあり、大自然と汚染された地域で構成された世界観を良く表現出来ていると思いました。

各ワールドイーターとの戦闘

本作のボスでもあるワールドイーターはどれも特徴的な外見をしており、戦闘では一般的な雑魚敵とは全く異なる行動をしてきます。

ワールドイーターは倒すために特定の条件を満たさなければならなかったり、特定の乗り物を使わなければならないなど、戦闘の方法も単純な削り合いではなくそれぞれに異なるアクション要素を入れ込んでおり、また攻撃も派手で迫力があり戦っていて楽しかったです。

まとめ

ストーリー ☆☆

世界観の完成度は高いのですが、その魅力が前述の展開の使い回しや没入感が削がれる会話方式などによって十分に体験できず、全体的に底が浅い印象を受けました。

ただ、各地域を旅するオープンワールドに用いるシナリオとしての基本的な要素は網羅していると思われるので、もっと様々なキャラクターの過去の歴史の真相などに関わる様なメインシナリオであれば受ける印象も大きく変わったと思うのですが、現状はあまり魅力のあるストーリーでは無い様に感じました。

アクション ☆☆☆

スタイリッシュなアクションや銃を用いた戦闘は序盤は爽快感があって楽しいのですが、ゲームに慣れてくるとすぐにやることがパターン化して作業ゲーの様に感じてしまいました。

もっと戦闘の難易度をシビアにして回避やパリィの重要性を上げたり、様々なスキルや武器が次々と開放されて色んな戦い方が出来るなど、戦闘の楽しさをもう少し追求して欲しかったですね。

音楽 ☆☆☆

強烈に印象に残る様な名曲や派手な物はありませんが、BGMや効果音は各場面ごとに適した物が使われており、違和感を感じる事はありませんでした。

品質 ☆☆☆

ゲームが出来なくなる様な致命的なバグや不具合には遭遇しなかったものの、前述の様な細かい点でのバグや不具合は存在しており、作り込みが十分ではない様に感じました。

総評 55/100点

オープンワールド系のアクションゲームとして、基本的な要素の殆どはしっかりと実装されており、悪いゲームでは無いのですが、全体的に何か今一つ物足りない様な印象を受ける作品でした。

逆に言うと、この物足りない部分を埋める要素さえあれば、本作はかなりの名作になり得た作品でもあると思います。

広大なマップと多種多様なキャラクターが必要なオープンワールド系の作品は、形にするだけでも膨大な時間と手間が掛かるので、それらをこなしつつ更に多くプレイヤーが満足出来る様な要素を盛り込むというのは並大抵の事では無いと思いますが、もしも続編が出るのであれば本作の経験を活かして更に面白い作品を作り上げて欲しいですね。

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