境界線上のホライゾン 最終巻感想

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2008年の9月から長年続いて来た境界線上のホライゾンシリーズですが、2018年の12月に発売された境界線上のホライゾンXI<下>で、遂にシリーズが完結することになりました。今回はその感想を書きたいと思います。

内容はネタバレを含むので注意して下さい。

はじめに

最初にも書きました通り、 境界線上のホライゾンシリーズは今回のXI<下>で一応は完結することになります。

ですが作者である川上稔さんが書いたあとがきによりますと、作品を終わらせなければいけないという枷を無くそうという気持ちで準備して来た作品ですので、今後は主人公たちの続きやこの世界をベースにしたスピンオフなどを新作と一緒に出していきたいとも書いてありましたので、境界線上のホライゾンという作品は今後も続いていく可能性が極めて高いです。

正直今作で終わると思っていましたので、この宣言は素直に嬉しいですし、これからはそちらの動きにも注目していきたいですね。

さて、最終巻という事で間違っているかもしれませんが、自分が理解している範囲内でこれまでの話の流れを説明しますと、まずこの世界は遠い昔に運命の概念に人格を与えて、あらゆる事象を人類に都合が良いようにコントロールしていました。

ですが途中から人格を与えられた運命が、自分が救えない人々が出てくる事に嫌気が差してしまい、いつしかこの世界ごと自分を消滅させようとします。

それを止めるためにこれまで多くの方々が奮闘し、最終的には運命だけを殺して人類を生き延びさせる方法を見つけて、それを実行しようとします。

ですが、運命を殺すと人々の自我も喪失してしまい、人類は生き延びるけれど文明は滅びてしまう事がわかりました。

そこでその方法に反対したのが主人公たちの陣営である武蔵で、世界各国と折り合いを付けてどうにか運命を殺す以外の方法で世界を滅亡から救おうとします。

そして遂にその方法が見つかって、運命がいる月に向かうのが最終巻の大まかな流れです。

最終巻らしい大団円

今回は運命の化身との最終決戦という事で、どんな流れになるのかなと思っていたのですが、蓋を開けると結果的には誰も死なずに大団円という、主人公陣営である武蔵の誰も失わせないというシリーズ初期からの方針を貫く結果となりました。

終わりのクロニクルシリーズではキャラクターが最終決戦で死んでしまっていたので少し不安でしたが、この境界線上のホライゾンではそういう事は無かったようです。

終始無表情だったホライゾンが表紙で笑顔になっている事から、バッドエンドやビターエンドでは無いんだろうなとは思っていましたが、予想通り大団円で終わっていて良かったと思います。

戦闘描写について

またラスボスである運命は作中で、幸運な体験ばかりをしてきた別世界の主人公たちを召喚して本人と戦わせるのですが、この部分が同じ名前のキャラクターが敵味方入り乱れて戦っているので少し文章が読み辛かったです。

漫画なら絵があるのでこういう部分で混乱することは無いのでしょうけど、小説ですとこういった描写は難しいのかもしれませんね。

また、これまでに敵として登場した各国のキャラクターが味方として登場し、力を振るう部分は面白く感じましたし、それらの掛け合いも個性があって良かったです。

特にそれまでまともな戦闘描写の無かったインノケンティウスが、肉弾戦において非常に強かったのは面白かったですね。

今回は最終巻という事もあってか、こういった他国勢の活躍が多く描かれており、1100ページ近くある文章の中でも殆どが戦闘描写を占めております。

登場キャラクターが多いので、全員の見せ場を作ろうとした結果これ程にまで文量が多くなってしまったのでしょうね。

ちょっと主人公たちが強すぎるかも

これは個人的な感想ですが、主人公たちが少し強すぎるように思いました。

例えば今回敵の運命は膨大な数の龍や武神(巨大ロボットの様なもの)を召喚して主人公たちが月に向かう為に乗っている船を襲わせるのですが、それらを船の自動迎撃システムが対処可能になって殆ど問題にならなくなってしまったり、別世界の自分自身との戦闘で圧勝してしまったりといった描写からそれを感じました。

特に可児才蔵が別世界の自分と戦う描写の部分ではそれが顕著で、描写自体がかなり少なかったりするので少し残念でしたね。

最終巻でも雰囲気はいつも通り

ラスボスとの最終決戦ですので、いつもの主人公たちが持っている良い意味でフザけた雰囲気も若干薄れてしまうかもしれないと思いましたが、目立った怪我人や死者が出なかった事もあってか、場面がシリアスになるような部分も殆ど無く、いつも通りのノリで最初から最後まで描かれておりました。

これは戦闘描写の中でも場面が真面目になり過ぎない為、人によっては否定的になる部分かとは思いますが、個人的には主人公たちのペースが最終巻でも損なわれておらず寧ろとても良い部分に感じました。

今後の展開にも期待

今後もスピンオフなどを書いていくとの事ですが、あとがきを見るとそちらはWeb中心で行うかもしれないらしいですので、場合によっては紙媒体の境界線上のホライゾンは今回が最後になるかもしれませんね。

運命との戦闘の終わり際に伏線のような描写がありましたので、まだまだ色々な展開を見せてくれそうな境界線上のホライゾンを今後も楽しみにしていきたいです。

個人的にはペルソナ君の過去の話が気になる所ですが、そちらの展開もいつか書いてくれると良いなぁと思っております。

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