【ゲームレビュー】小さくなっても伊達じゃない?SDガンダムバトルアライアンス 批評

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今回はSteamなどで発売されたアクションRPGゲーム、SDガンダムバトルアライアンス(以下バトアラ)をクリアしましたので、その感想を書いていきたいと思います。

内容はゲーム内容やストーリーのネタバレを含みますのでご注意下さい

概要

バトアラは鉄道シュミレーションゲーム「A列車で行こう」を代表作に持つARTDINKが開発した、機動戦士ガンダムシリーズが題材のアクションRPGです。

タイトルについているSDとはスーパーデフォルメという意味で、キャラクターや機体の等身を小さくデフォルメした所謂「チビキャラ化」の事であり、本作に出てくる機体は一部のモビルアーマーや戦艦などを除いて全てSDバージョンで登場します。

SD化されたロボットが活躍するゲームとしては本作と同じくガンダム作品の機体が登場するスーパーロボット大戦シリーズやGジェネレーションが有名ですが、あちらが戦略シュミレーションゲームであるのに対してこちらはアクションRPGという点で、これまであまりなかったSDガンダムでの活躍を体験できます。

仮想空間で様々な歴史が交錯する物語

本作はガンダムゲーによくある特定のガンダム作品の主人公になってストーリーを追体験する形式ではなく、本作のオリジナルキャラクター達を主人公にした物語になっております。

ざっくりとストーリーを紹介しますと、初代機動戦士ガンダムでのオデッサ作戦にジムの戦闘データを収集する部隊「ギャザーロード隊」として参加した主人公達は、作戦の途中で様々なガンダムの歴史が記録された仮想空間「G:ユニバース」に引きずり込まれます。

G:ユニバースはシステムの不具合によって、様々なガンダム作品の歴史がごちゃ混ぜ状態になってしまっており、このままでは現実にも影響を及ぼしてしまう可能性がありました。

主人公達は自分たちを引きずり込んだ原因でもあるG:ユニバースの不具合の原因を調査する過程で歴史を修正しつつ、元の世界に戻る事を目指すというのが本作のストーリーです。

ブレイクミッション、トゥルーミッション、コンフューズドミッション

本作のステージはそれぞれブレイク、トゥルー、コンフューズドの3つに分けられています。

ステージの内容は、歴史がごちゃまぜになり他作品の機体が登場するのがブレイク、本編通りの展開が行われるのがトゥルー、トゥルーに新たなボスが追加されたコンフューズド、とされており、ストーリーではまずブレイクミッションを行った後にトゥルーミッションを行って歴史を修正していきます。

雑魚戦は無双ライク、ボス戦はソウルライク

本作の戦闘は雑魚戦は爽快感のある無双ライク、ボス戦は緊張感のあるソウルライクになっております。

操作方法は弱攻撃・強攻撃・メイン射撃・サブ射撃などを用いて連続攻撃を行い、ゲージが貯まるとSPAなる必殺技が使える、という一般的な無双ライクに近い形式ですが、ガードやブーストによるダッシュでの回避、敵を画面の中心に固定するロックオン機能などのソウルライクを彷彿とさせるシステムも採用されています。

格闘、ジャンプ、ダッシュには全てブーストが必要であり、戦闘時にはブースト容量に気を配る必要があります。

また、ガードにはガードゲージという物が存在し、敵の攻撃を連続で受けてガードゲージが0になると強制的にガードが解除されてしまいます。

ボスにはスーパーアーマーが付与されており、通常の攻撃では動きを止める事は出来ませんが、スーパーアーマーのゲージを攻撃で削り0にする事でブレイク状態となり、通常の攻撃でも怯ませれる様になり、空中コンボなどが可能になります。

このシステムにより、攻撃一辺倒ではストーリーを攻略できず、ボスの攻撃をしっかりとガードやブーストによる回避で対処する必要があるゲーム性になっています。

一部のMA(モビルアーマー)系のボスは常にスーパーアーマー状態であり、攻撃で怯ませる事は出来ない代わりに、足などの一部の部位に攻撃を集中する事で一定時間動きが止まります。

キャピタルを消費して機体をレベルアップ

本作では戦闘で入手する事が出来るキャピタルを使用する事で、機体のステータスを上昇させる事が出来ます。

機体のレベルはステータスの値に合わせて決まり、一定の値ごとに上限が設定されています。

レベルの上限は戦闘で入手出来る上限突破アイテムを使用することで増加し、現時点では3回増加させる事が可能です。

設計図をゲットして機体をアンロック

ステージのボスを倒すことで設計図を入手し、それを一定数貯める事で機体をアンロックして使用可能になります。

機体は各ガンダム作品から数機ずつ用意されており、今後DLCでその数は更に増えていくものと思われます。

スキル&パーツによるカスタマイズ要素

本作には主人公が使えるスキルと、パーツによるMSの強化が可能です。

まずスキルですが、これは直接攻撃が行える様な類の物ではなく、特殊なバフを常に発動させる所謂パッシブスキルであり、これを用いる事でブーストの燃費が良くなったり、獲得できるキャピタルの量が増加するなどの恩恵を受ける事が出来ます。

次にパーツですが、これは戦闘で獲得する事ができるアイテムであり、MSに装着する事で基礎ステータスを向上させる他、サブ効果の付いているパーツの場合はオートガードや全方位ガード、物理攻撃やビーム攻撃耐性の上昇などの効果を得る事も可能です。

スキルは最大3つ、パーツは最大4つ装着する事が可能で、自分が使う機体の長所を伸ばしたり、出てくる敵に合わせて耐性を上げたりと、カスタマイズ次第で戦闘を有利にする事が出来ます。

悪いと思った点

追記:2022年9月15日に公式から発表された「【重要なお知らせ】STEAM®「SDガンダム バトルアライアンス」 今後の製品版アップデートデータ配信に関しまして」にて、悪いと思った点として挙げた幾つかの要素については改善が予定されている旨が発表されました。

その為、ここに記載されている内容は、これらの改善が行われる前のバトアラについての不満点であり、閲覧する時期によっては既に改善されている可能性がある事にご注意下さい。

時間が掛かり過ぎるシステム面

機体のレベル上げ、機体の入手、目的のパーツ掘りなどには全てそれなりに時間が掛かり、プレイ時間を多く確保出来ない方にとってはゲームを進めるのが辛くなる点もあるかと思います。

特にレベル上げはレベルアップに要求されるキャピタルの数と、入手できるキャピタルの数にかなりの差がある為、ちゃんとしたキャピタルの稼ぎ方を知らない方の場合は、時間が掛かりすぎて途中でプレイを投げ出してしまう方も居るかと思われます。

オススメの稼ぎ方は自己強化型SPAを持つアレックスを使用し、難易度HARDで5Dコンフューズド、または7Dトゥルーをクリアする事ですが、難易度HARDが開放されるのは全てのステージをNORMALでクリアした後であり、更に稼ぎ用にまずアレックスを強化する必要がある為、この方法を行うにもそれなりの時間が必要です。

また、レベル上げや機体の入手などはストーリーを進めたり、好きな機体を使う為に必要な行動ですが、同じ様な事の繰り返しになってしまうので、どうしても作業感を感じてしまう場面もありました。

出来ればレベル上げだけでも楽にできれば、もう少し遊びやすいゲームになったと思います。

主人公たちの存在感が薄いストーリー

本作のオリジナルキャラクターである主人公たちは歴史を修正するという目的がある為、基本的に各ガンダム作品の歴史には深く関わる事が出来ず、傍観者の様な立ち位置でストーリーを進めていく事になります。

各作品の見せ場であるシーンにも主人公たちは直接参加はせず、最後はテキスト又はムービーで少し説明をされて終わり、という展開が多いです。

歴史を変えてはいけないので、積極的に物語に介入出来ないというのは分かるのですが、それならそれで各ガンダム作品のキャラクターとは絡まない形でも良いので、主人公たちにも多くの見せ場を与えて欲しかったです。

特に本作に登場する二人の女性オリジナルキャラクターは会話以外では殆どゲームに関わらないので、登場するシーンは多いものの存在意義が目立たないキャラクターになっている印象を受けました。

せめてMSに乗ってくれて僚機として戦闘に連れていけるなどの要素があれば良かったのですが、現状は両者とも単なるナビゲーターになっています。

また、本作はG・ユニバースの世界で不具合の原因にもなっているラスボスも、ゲーム中に直接介入してきてその存在感を発揮するシーンがあまり無いので、主人公たちと同様に影が薄くなっています。

多くのガンダム作品の原作要素を活かしながら、更にオリジナルキャラクターを活躍させる事は、メアリー・スー的な展開になってしまう可能性もあって非常に難しいと思いますが、出来ればもう少しだけ主人公たちにフォーカスが当たる展開が欲しかったです。

難易度の高いMAボス

巨大なMAボスは素早い動きに加えて、ほぼ常にスーパーアーマーが付与された状態である為、こちらの攻撃にもお構いなしで範囲の広い攻撃を次々と繰り出してきます。

そして攻撃力も高い為、避けるのが難しいからとガードに頼っていれば、ガードで軽減されたダメージであってもすぐに体力を削りきられてしまいます。

本作では敵の攻撃を完全に無効化するには、ブーストで回避するか、敵の攻撃が当たる瞬間にガードを行う「ジャストガード」が必要なのですが、このタイミングが非常にシビアでアクションゲームに慣れていない方ではNORMAL難易度であっても思うように敵の攻撃に対処できずに苦戦を強いられる事になると思われます。

回復手段とその回数も限られている為、「攻撃に上手く対処出来なくても回復をし続けて持久戦で勝利する」という方法は本作では行えず、しっかりと敵の攻撃を見極めて対応していかなければクリアできないゲームになっています。

ただ、本作は敵をロックオンしていても高速で移動されたり接近され過ぎると、カメラが敵の全身を捉えきれなくなって敵の攻撃の予備動作が物理的に見えない事もある為、ジャストガードを成功させるのは予想以上に難しかったです。

一応、パーツを使う事でジャストガードの受付時間はある程度なら伸ばせますし、どうしても1人でクリアできない時はマルチ協力プレイで他のプレイヤーに手伝ってもらうといった解決策はありますが、このMAボスの存在によってアクションゲームが苦手な人には少しオススメ出来ないゲームバランスになっていると感じました。

良いと思った部分

豊富な機体を使用できる

使用する事が可能な機体として、様々なガンダム作品から多くの機体が採用されており、色々な機体を操作して楽しむ事が出来ます。

また、各機体ごとにSPAが用意されていたり、攻撃方法やコンボのキャンセルルートが異なるなど、ちゃんと差別化が行われています。

一つの機体を使うのに飽きたら他の色々な機体に乗り換えれる為、長く遊び続ける事が可能です。

今後もDLCで様々な機体が追加される予定です。

やり込み要素のあるゲーム性

前述のMAボス戦ですが、アクションゲームが得意であったり、ソウルライクの作品に慣れている方であれば、手応えのある戦闘として楽しむ事が出来ると思われます。

強敵に倒される度に敵の攻撃パターンだけでなく、装備するパーツや使用する機体・僚機を変えたりしてなんとか勝つという様な事が好きな方にはオススメのゲームです。

本編のクリア後には高難易度のHARDモードが用意されていたり、低確率でドロップする非常に強力な効果が付いている特殊なパーツが存在したりと、やり込み要素もある作品ですので、ガッツリとゲームをプレイしたい方にもオススメできます。

クオリティの高い機体のモデリングやも

本作には様々な機体が登場しますが、それらの見た目はまっさらな新品の物では無く、プラモデルにあえて汚れや傷を付ける手法であるウェザリングの様な手法によって実際に戦場で戦っている機体らしい表現がされており、モデリングが凝っています。

また、機体の攻撃モーションもスタイリッシュであったり、それぞれの特徴を良く表している物が多く、実際に機体を動かしていてとても爽快感があります。

本作の機体はタイトル通りSD化してはいますが、それぞれの機体が持つ本来のかっこよさや特徴は、このクオリティの高いモーションやモデリングによって全く損なわれておらず、ガンダムのゲームに初めて触れる方には勿論の事、ガンダムシリーズのファンの方にも違和感無く受け入れられる物になっていると思います。

まとめ

ストーリー ☆☆

主人公達の見せ場があまりなく、各作品の魅力的なキャラクターとも歴史を変えてはいけないという制約によって深く関わる事が出来ず、淡々と物語が進んでいく為、シナリオの展開にあまり興味が持てませんでした。

会話パートだけでなく、ムービーや戦闘シーンなども多く使ってオリキャラ一人一人の個性を出してくれれば良かったのですが、現状はメタ的な発言をするだけの賑やかしキャラの様になってしまっており、キャラクターに感情移入する事も難しかったので、もう少しだけ会話パート以外の見せ方で活躍する場面を演出して欲しかったです。

アクション ☆☆☆

各機体のアクションとコンボは使っていて非常に爽快感がある一方、スーパーアーマーを持つMAボス戦ではそれらが制限されてしまいます。

無双系はボス戦があっけなくなりがちなので、ボス戦を難しくする事である程度手応えを出そうとしたのだと思いますが、雑魚戦はストレスがあまりない無双系なのにボス戦は緊張感のあるソウルライクな作りになっている為、ボス戦でがらりと変わるゲーム性に戸惑う事がありました。

ボスが強い分それを倒せた時の達成感も十分ありますが、無双系とソウルライクという方向性やプレイヤーの趣向が異なる2つのジャンルを合わせた結果、人を選ぶゲーム性になってしまっているように感じました。

音楽 ☆☆☆☆☆

各ガンダム作品で使用された楽曲がそのままBGMとして使用されており、各シーンで原作通りのテーマ曲や主題歌などが流れてくれます。

攻撃した際の効果音などもガンダムシリーズではお馴染みの物が使用されていたり、各キャラクターの会話もテキストだけでなく音声がちゃんと付いているなど、原作の雰囲気を壊さない様にしっかりと考慮して作られている印象を受けました。

品質 ☆☆☆

機体のモデリングや挙動などはとてもクオリティが高いのですが、気になる点が幾つかありました。

まず本作ではソロプレイ時には自分の他に2体の僚機を連れていく事が出来るのですが、空中に浮かんでいる戦艦や敵の拠点などに対する攻撃を行わなかったり、あまり敵の攻撃を回避してくれなかったりと、AIの挙動が少し怪しく感じました。

他にもブースト速度が遅くスムーズなマップの移動がし辛かったり、パーツのソートや整理機能が乏しかったり、ロックオンの挙動に少し違和感があったり、倒れている状態の敵には打ち上げ攻撃を当てても打ち上がらなかったり、オールラウンダー系に微妙な性能の機体が多いなど、細かい部分で調整不足を感じる点もありました。

総評 65/100点

使える機体数も多く非常に長く遊べるゲームではあるのですが、機体のレベル上げなどに時間が掛かりその作業を行う必要があるので、やや単調に感じてしまう部分がありました。

戦闘関連の不満は協力マルチプレイをすれば殆どが解消されますが、オンラインから人が居なくなった場合にはソロモードで遊ばざるを得ない為、HARDモードなどではかなり苦戦するステージも出てくるでしょう。

現状ではフルプライスで購入するのはオススメしませんが、決して駄作ではありませんので、セール中で値段が安くなっている時などに購入する事をオススメします。

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